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穴埋願望【5】

「でも田端さん、その完勃ちのソレはどうする気ですか?」 「コレをどうするかは俺の勝手だっ」 「まぁそうなんですけど、どっちにしろまだ1段階残ってるんですよ」 「あぁ?」 「俺、穴埋め終わったって言ってませんよね?」  コイツは何を言ってるんだ?  無言で眺める田端の前で、後輩はおもむろに己のベルトを外してジッパーを引き下ろした。 「何ごとも仕上げは自分で、ですよね」 「待て、もう自分の手を使ったよな……?」 「あぁ、指ですか? あれはほら、プールの前の消毒ぐらいな感じで」 「マジで何言ってんだお前?」  何とか思いとどまらせようと焦る間にも、上野は下着ごとウエストを下ろしてご立派なイチモツを披露してしまう。 「なんでお前勃ってんだよ……!?」 「だって、こんなに太いものが埋まってる小さな穴を見てたら、そりゃあ勃っちゃいますよ」  おかしい、勃起する対象がおかしくねぇか──!? 「大体ねぇ田端さん。何のためにサラミで慣らしたと思ってるんですか」 「いや何も聞いてねぇから知らねぇし!」 「えぇまぁ、話してませんでしたけど。でも穴を埋めるって言ったら究極はこれしかないですよね?」 「極めなくていいっ、てかお前な、モノで埋めんのとソイツで埋めんのとじゃ全然意味が違ってくんじゃねぇか……!」 「どんな風に?」 「穴を埋めてぇってだけなら、たとえ尻穴だろうが百万歩譲ってお前の変態性癖の充足ってことにしてやってもいい、けどソイツを入れちまったら単なるセックスだよな!?」 「だったら?」 「──」  パウチの端を咥えて開封する後輩のしれっとしたツラを、田端は無言で見返した。 「田端さんの穴を埋めさせてくれたら、所構わずやたらと穴を埋めたがらず衝動を我慢する。そういう話でしたよね」 「そもそも、俺の穴を埋めさせたらなんて言ったっけ……?」 「言いましたよ」  言ってない気がするけど思い出せなかったし、それよりも勃起したモノに粛々とゴムを被せてるド変態の手元が気になって、もはやそれどころじゃなかった。 「上野お前……」 「はい」 「女たちがお前のド変態っぷりにドン引きして次々去っちまうから、やれなくて溜まってるって正直に言えよ」 「正直に言おうが言うまいが、することは同じですよ?」  まるで当然のように上野は言い、田端の両脚を押し上げながらのし掛かってきた。 「心配しなくても、前も責任持って処理してあげますから」 「いやそんなサービスは要らね──ちょっ」  押されて浮いた尻の狭間にゴムを被った先端がぬるりと触れ、竦み上がる気持ちと裏腹に穴の縁がひくりと蠢く。と同時に圧迫されたそこがこじ開けられてド変態の先端を呑み、そうなるともうあとは止めようがなかった。  ついさっきサラミを咥えていた粘膜の隘路は、またしても肉の棒切れを奥へ奥へと誘い込んでしまう。違うのは、まず太さ。サラミの比じゃない。それから直線か湾曲か、血が通ってるか否か。本体にくっついてるか否か、味がするか否か──いや、味はその口じゃ感じねぇ……いや、そこは口じゃねぇ…… 「い──あっ」 「あぁ、すごいです田端さん。これまで出会った穴の中で間違いなく最高ですよ」  興奮に目を輝かせて、自ら埋めた穴を食い入るように見つめるド変態。 「全っ然、嬉しく──ね……!」 「こんなに埋める欲求を満たしてくれる穴を何年も見過ごしてきたなんて、今まで何やってたんでしょうね、俺は?」  できることなら定年か、せめて異動で離れるまで見過ごしてて欲しかった。  ネクタイで括った足首を掴んで固定した後輩が、抉るように突き入れた腰を引いて、また押し入る。そしてまた引いて、また抉る。 「んんっ、動か……なっ」 「サラミとどっちがいいですか? 次回また好きなほうで埋めてあげますよ」 「あっ、ぁふっ……ふざけん……なぁっ!」  喘ぎ混じりに声を上げた田端の口に、突然何かが突っ込まれた。 「んぐ……!?」  まず面食らい、次に息苦しさに狼狽えて、最後にようやくソイツが何なのかを理解して血の気が引いた。  なんと口に捩じ込まれたのは他でもない、さっきまで尻の中に埋め込まれていたサラミだった。 「!?」 「あ、そんな顔してなくても大丈夫ですって。ゴムは外してますから」  そういう問題じゃねぇよな……!?

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