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穴埋願望【4】

「んっ、は、何動かしてんだよ……!?」 「こうしたほうが楽じゃありません?」 「気持ち悪、あ──あっ」 「犯されてるような気分になってます?」 「変態みてぇなこと訊くな、いや変態だった……ってかマジで、それ、やめ──!」  コンドームのオイルで滑りながら、穴を前後するサラミが徐々に奥まで入ってくる。  尻の中の感覚に意識を搦め取られ、田端は為すすべもなく息を乱した。粘膜を擦るリズムも圧される場所もランダムで、予測不能の刺激に正常な呼吸ができない。 「あぁ、このサラミをあとで食えるなんて……」  田端は今一度、悩乱の裡に呟いた。  神様──  こんな状況に置かれれば、信じてなくたって祈りたくもなるというもの。それが日本人ってヤツだ。  一体何が悲しくて後輩に両手足を、それもリーマンの仕事道具であるネクタイで縛られ、まるでAVみたいな格好をさせられた上、尻丸出しで指どころか食い物で犯されなきゃならねぇんだ?  しかも、やってる当人は性的な目的じゃないことを考えると、ある意味無駄な辱めを受けてるとも言える。  そう、これは決して性的な行為じゃない。  なのにいつしか田端は、己の下腹に否応なく溜まっていく疼きを無視することができなくなっていた。  肉の棒が穴を出入りし、硬くて粗い表面の質感がごりごりと中を抉るたび、腰の奥から未知の衝撃が突き上げてくる。  何なんだこれ、まさかこんなものに感じてるのか?  待て待て俺、尻を犯してるのはサラミだ──! 「ッ、あっ……埋めるだけなら、んなっ、動かすことねぇだろ……!?」 「ちょっと田端さん。完勃ちですけど、そんなにいいんですか? サラミが」 「んんっ、あぁ……だからサラミやめ」  田端はシーツに頭を擦り付けて首を打ち振った。上野に言われるまでもなく己が既に万全の態勢なのは、もうわかってる。が、両手は左右の足首に括られていて自分で触ることも叶わない。 「田端さん、まさか経験者だったとかじゃないですよね」 「ふざけ──ンなわけね、馬鹿かっ」 「じゃあ、この穴を埋めたヤツはまだいないんですね?」 「今サラミが埋めてんだろ!」 「サラミじゃなくて、生身の話です」 「サラミと生身を掛けてんのか!?」 「いや、そういうわけじゃ……とにかくじゃあ、ちょっと一旦埋めちゃいますね」  何が「じゃあ」なのか、何が「一旦」なのか皆目わからないが、上野はそう言うと太いサラミを田端の中に押し込んでしまった。 「あ──!?」 「すごい、全部入りましたよ」 「おま──マジかよ!?」 「サラミの味はどうですか? 田端さん」 「味なんかするかっ……もういいだろ、抜け!」 「抜くのは十分味わってからにしてあげようと思ったんですけど……」 「もう十分、もう十分だからっ」 「気が済みました?」  気が済むべきは俺じゃなくてお前だ! と言い返したいのに言葉にならないのは、股間がもどかしく疼いてどうしようもないせいか。否、だからってサラミをそこに咥え込んでいたって苦しさからは解放されない。 「田端さんの閉じちゃった穴、ひくひくしてますね」 「エロ小説みてぇな表現で実況すんな、てか閉じたっておま、抜けなくなったらどうすんだよ!?」 「ゴムの端っこ出てるから心配いりません。心ゆくまで穴の埋まり具合を楽しんでください」 「穴埋めてぇのは俺じゃねぇよな……!?」 「だから、もう出してもいいなら出しますけど」 「四の五の言わずに早く出せ!!」  了解です、と声がして中の異物が引っぱられる感触に続き、己の出入口が押し開かれるのをリアルに感じた。 「っ──あ……」 「田端さん、サラミを排泄する気分は?」 「クソ変態が……」 「今は田端さんのほうが変態に見えますよ。こんなもの突っ込まれて勃起したと思ったら、丸ごと入れて排泄してんですからね」 「それ全部やったのお前……ん! あっ、動かすんじゃね……ぇっ」  抜きかけたサラミを前触れもなく抜き差しされて、腰が跳ね上がる。 「そんなにこれが気に入っちゃったんですか? この穴は」  穴に意志はねぇ──  頭の隅で弱々しくツッコみながら、田端は再びサラミに犯されてさんざん喘がされ、ようやく抜いてもらえた頃には己の痴態を恥じ入る余裕すらほぼ消えかかってる始末だった。  拘束された手足を力なく脱力させる田端の足元では、抜き取った肉棒からコンドームを剥がしたド変態後輩がだらしなく相好を崩していた。そのツラに、もはやイケメンの影はない。 「おい上野……」 「はい?」 「お前がその、俺が排泄したサラミを食いてぇんならもう勝手にすりゃいい──だから早くコイツをっ」  と、括られた四肢をできる限り上野のほうに近づけてアピールする。 「解け、さっさと!」

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