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第48話
「貴一さんは忙しくても積極的に家事に参加してくださるので助かってます。ベビーシッターの方を雇おうと言ったのも貴一さんの提案なんです」
そう言うとお義母さんは眉を寄せた。
「それくらいアルファの夫として当たり前じゃない。まあ、でも貴方たち二人が仲良くやっているようで良かったけど」
お義母さんの言葉に俺は苦笑した。
貴一さんは本当に忙しいのに子育てに関して俺の悩みを聞いてくれたり、家事を引き受けてくれたり、だいぶ助けてもらっていた。
しかしお義母さんの仲良くしているかという質問については、素直に頷けない部分があった。
貴一さんは仕事が忙しく、深夜に帰宅し、早朝から出かけてしまうことが多い。その分休日は子供たちの育児を頑張ってくれていた。
そんな俺たちには二人でのんびりする時間などなかった。
久々に貴一さんといい雰囲気になってキスをしていても、直後に赤ん坊の泣き声が響き渡る。
それに俺は子供を産んでからまだ一度も発情期を迎えていなかった。
普通産後、三か月から半年たつと、発情期はまた始まるはずなのだが、産後九か月経った今も俺にはまだやってきていなかった。
そのせいで我を忘れてセックスに没頭する必然性もない。
そんな事情で俺達は出産後、数えるほどしか体を重ねていなかった。
それもいつも子供の機嫌を伺いながらの慌ただしいセックスで、以前のように時間を気にせずお互いを求めるなんて不可能だった。
貴一さんは一日くらい望月さんに喜美と樹を預けて、二人きりで過ごそうって言ってくれるけど、それもなんだか気が引けるし。
出産前のように二人で甘い時間を過ごすのは当分先かもしれないと、俺は小さくため息をついた。
ふいに自分からかすかに甘い香りがした。
まさかこんな時に。
久しぶりにきた発情期のせいで、一気に俺の体を淫らな熱が包んだ。
額に汗を滲ませたお義父さんが俺の肩に手を置く。
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