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 視線を合わせたまま微笑んだ部長がゆっくりと頭を垂れ…… 「ひゃ   め、ゃめて!  やめてっ 」  足をバタつかせても、腕を突っぱねても聞いてはくれなくて、 「  ────っ!」  唾液が先端に触れただけで腰が砕けた。  ぐちゅりと水音が響いて、熱い咥内の感触に包み込まれて震えがくる。 「あ、ああ    あああぁぁぁぁぁ っ」  腕の力が抜けて逃げれず、踏ん張ろうとする足も何の役にも立たない。裏筋を舌先で丁寧に舐め上げられ、いやいやと首を振るも部長は更に後ろにまで指を伸ばしてきた。 「 や、やだ !ソコ、だ ダメで  っ」  準備をしておいたソコは部長の指に従順で。  周りの皮膚を引っ張られてクパ……とソコが空気に触れた。 「ひ  」  長い指が易々と入り込んで柔らかな内壁を撫でる。  自分じゃ到底触れることのない箇所を容赦なく触られ、前からの刺激と後唇からの焦れるような感覚に歯を食いしばった。  歯の鳴る音が、陥落を告げる。 「 ぃ、ひ   はな、放してっ ぇ  」  締め付けすぎて指の節の感触がする。  なんとか射精感を逃そうとするも、足に力が入らず、押しのける腕も役に立たない。 「──── や、 っ」  息が吸い込めず、腰が跳ね、熱を吐き出す。  その振動で部長の口からモノが外れて…… 「っ!」  頬をぴしゃりと打つ音が遠くに聞こえ、息を吐き切った肺が苦しくて苦しくて堪らなくて、しゃくりのように胸が跳ねる。  鋭い視線が頬を拭った指に落ち、その先端を汚す白い液体を丹念に見つめた後、舌がソレを舐め上げた。 「 なな、なに、  を」 「もう少し美味いモノかと思っていたが」  深い眉間の皺は味の感想を率直に伝えてくる。 「そん、 ぁあ  」  うまく言葉が出ず、口はぱくぱくとしか動かない。  なけなしの理性でティッシュを取ると、部長の唇の端を汚すモノを慌てて拭い取った。 「お前はいつも、美味そうに飲むだろう?」 「  っ、それ、それ は、味覚の 好みですから」    オレがティッシュで顔を拭くのが擽ったかったのか、ふっと口の端を柔らかく歪めて部長が笑う。  いつもより自然な笑みに胸がきゅっと締め付けられ、苦しくて唇を噛んだ。 「  どうした?」  噛み締めた唇を舌先で促すように舐められ、そのままゆっくりと押し倒された。  いつも遠い部長の胸板がぴったりと寄り添って……  緩慢とも思えるような愛撫は柔らかで、優しくて、温かだった。  けれどこうして触れると言うことは、こう言う風に奥さんにも接したと言う証でもあって。  花に接するように優しく触れるのだと、知ってしまった。 「   ぁ 」  ナカに入れたローションが垂れてきたらしく、ぬるつくソコを指の腹が焦らすように撫ぜ、背中を撓らせるような感覚に歯を食いしばる。 「なぜ歯を食いしばる」  ちゅっとキスをされ、猫の挨拶のように鼻先をちょんとぶつけられる、痛いわけではないけれど驚いて小さく跳ねると、苦笑が返された。 「なんでそうなんだ」 「 そう、ですか ?」 「取って食うわけじゃないだろ」  ゆるりと擦りつけられる熱に気を取られながら、部長の言葉に首を振った。 「   食われ、そうな気には なります、 ンっ」  宛がわれる熱さに震えが起こる。 「食われそう、か」  先程とは打って変わって唇の端が歪むだけの笑顔が現れた。 「   食い尽くせたなら 」  右側だけが歪むいびつな微笑、続きを待つが部長の口から言葉は出てこなくて……  先は体を犯す熱にはぐらかされて、聞くことができなかった。

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