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おまけ・本編その後 (完)
あれからもし香水をつけるならこれにしてと言われたので、オレは毎日レモンの香水をつけている。
どうせつけるなら清に好かれるのにしたいって思って始めたんだけど、自分自身、柑橘系のこのさっぱりした匂いが好きだ。
…もともとこの匂いが好きで、匂い付きの消しゴムにはまってた位だし。
今日も今日とてシュシュっと軽く吹きかけて、清の家へと遊びに行く。
「おっすー」
「いらっしゃい」
今日はおばちゃんがいるのか、台所の方からテレビの音や物音が聞こえる。
扉の外から「おじゃましまーす」と軽く声をかけると、「いらっしゃい!」とおばちゃんの大きな声が返ってきた。
とん、とん、とん…と清の部屋へ行くために階段を上り始めると、清がオレの後ろに背後霊の様にべったりとくっついて首元に顔を埋めてくる。
「……おい、清。上りにくい」
「へへ、ごめん」
そう言いながらも背中から離れてくれず、のそのそしながら上り終え清の部屋へと入った。
「…お前、おばちゃんに見られたらどうすんだよ」
「えー?ちゃんと見られてないこと確認してやってるから大丈夫ー。てか別に見られてもいいし」
今までのオレの悩みは何だったんだと思う程、今は清が人目が無くなるとすぐべったりしてきて逆に心配だ。
オレがいつものようにベッドの前に腰掛けると、清はぐぃっとオレとベッドの間に入ってきて、オレを膝の間に入れて抱きしめるように座った。
スン…とまた首元に顔を埋められ、くすぐったくて身じろぐ。
「…やっぱり栄の匂いはこれだよなぁ…」
そう言いながらオレの首元で深呼吸をする。息が吹きかかってくすぐったくてたまらない。
「……そいえば、レモンの香水。使いかけだったけどさ、今まで清してたっけ?オレ清からレモンの匂いした記憶ないんだけど…」
自分の体臭に気づかないほど鼻が悪かったとしても、オレの好きな匂いに気づかないってことはないと思うんだ。
そう思って少し首を後ろに向けようとするが、清が首から離れないからしっかり後ろに向かれない。
「…あー。昔ちょっとね。栄に会う前とか」
「へぇ?そうなんだ」
「うん、そう」
納得しているとそのままぎゅうっと抱きしめられて、首元にキスをされた。
周りに漂うさっぱりとしたレモンの匂いとは違い、オレたちはとても甘々だ。
(…つけてたんじゃなくて、栄を思い出して匂いかいでたとか言えない…)
終 2015.9.22
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