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「おはよう」
「おはようございます」
少しの時差で先生と京さんが出勤してきた。
一緒に来たわけではないようで、二人も挨拶をしている最中だった。
「あれー指輪。」
京さんが先生のつけている指輪を見てニヤリと笑う。
「…あいつがつけとけってうるさいから」
「お熱いなぁ。可愛い奴」
出勤して早々先生にべたべたしている京さん。
二人の会話は丸聞こえで…慌てて駆け寄ると京さんから先生を引き離し、自分の後ろへと隠す。
「ちょっと。全部聞こえてるからね?」
「ああ、居たのか」
居たのか。じゃないよ…
むっと拗ねれば、それに笑ってる先生。
その笑顔が可愛いから許してしまうのだけど…。
「まーたとられた」
京さんには相変わらず、気が抜けない。
「だから先生は俺の!」
「ははっ、わかったわかった」
二人して面白がって…。
…でも、ここに来てすぐは嫌な顔したり、困ってたり、怒ってたりそんな顔ばかりだった先生に笑顔が増えた気がする。
だからまぁこういうのもいいのかもしれない。
先生の薬指には俺とお揃いの指輪が。
なんと幸せな光景。
「おはよう先生」
「ん。おはよ」
決して、俺はつけとけなんて強要してないのだけれど。
『あからさまにお揃いの指輪なんて、周りにバレることになるだろうからさ。先生が持っててくれたらそれでいいよ。』
だから、これは不器用な先生の愛情だと思って
『…僕がつけてたいだけだ』
秘密にしといてあげよう。
「なにニヤニヤしてるんだよ」
「変態」
だから誰か、
少しだけこの二人をどうにかしてくれないかな……。
end
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