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. 笑いながら、邪魔者は消えるかな。と最後までニコニコしていた京さん。 すっかり泣き止んだ先生が、俺の腕の中でジタバタしだして、こちらへ向いたむすっとした顔。 「紛らわしいことするな」 それはそれはご立腹なようで… ちょっとでも機嫌なおしてくれないかなぁって、 「これ、先生にあげたかったんだ」 藍色の小さな箱を手渡した。 俺がパカリと蓋を開けると、びっくりした顔をした後、また目には涙が溜まっていく。 「ちょっ、まって!え、ごめん!そんなにやだった?」 箱の中には俺とお揃いの指輪。 ムードのかけらもないこんなタイミングだけど… 全部全部伝わればいい。 「ずっと先生だけが好きだよ。また会いにくるって約束したから…ちゃんと成長して大人になったって認めてもらってから本当は渡したかったんだけど、ごめんねかっこわるくて」 今にも溢れでそうな涙を、あふれる前にゴシゴシと拭ってやる。 「お前が思う程…僕は大人じゃないし、昔とは違う所だってある」 伏し目がちにボソボソとつぶやく先生。 何にも心配しなくていいのに、気にしてしまう先生が可愛い。大人じゃない所だって、昔と変わった所だって、俺は好きなのにね。 先生が安心する為に一つ一つ、先生の言葉を俺の言葉で解いていく。 「分かってるよ。先生不器用だもん。そんなところも好きだよ。俺も変わった所たくさんあるし…先生が好きなのは昔の俺だけ?今の俺は好きになってくれないの?」 試すような口ぶりで、もし、好きじゃないなんて言われてももう離せる気はないのだけど… 「…どうだろ、僕が好きなのは昔のお前だし。今のお前のことはさほど知らないし…」 やっと本音を伝えてくれて、 それだけでじんわり心が温かくなる。 「でも知りたいと思った。こんなこと僕が思うのは…今も昔もお前だけだよ」 それなのにこんなこと言うから。 愛おしさで溢れすぎて、幸せだ。 俺まで泣けてきた。 「ははっ」 そんな俺を見て、先生が笑った。 泣いたり笑ったり忙しい人だ。 突然白衣の袖を下に引っ張られる。 「夜野かがんで」 言われるとおりに少しだけ屈めば、 ふわりと近くで先生の匂いがした。 それと同時。 ちゅっ。と可愛らしい音を立てて、 俺の唇に先生の唇が重なった。 .

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