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. リリリリリッ…カチッ。 アラーム音に眉をひそめ、いやいやと僕の胸に頭を擦り付ける彼。まるでまだ起きたくないとでも言うように腰に巻きついた手の力がぎゅっと強くなった。 スンスンと額の匂いを嗅いで自分と同じ匂いにどこか少し安堵する。昨日の夜は散歩に出かけなかったようだ。 「猫。離して」 ぎゅ。 「…ねーこ」 ぎゅーーーー。 名前を呼ぶごとに力強くなっていく、そんなことさえ愛おしい。 「今日は遅刻できないんだ」 ぽんぽんと頭を撫でると、しだいに腕に込められていた力が緩んだ。 長いまつ毛が揺れ、焦げ茶色の瞳がこちらを見つめた。 薄い唇を少し尖らせて幼い子供のようにぷいっとそっぽを向いて。 そんな彼をこれでもかという力で抱き締めてから、鼻先にキスをした。 「苦しい」 しかめっ面と赤くなった耳。 「さあ。起きようか」 可愛いなぁ。 .

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