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第2話
「綺麗だね。お姉さん。」
不意に背後から声が聞こえて僕が振り向くと柔らかく笑って僕を見ている男性。
誰?
「えっと、俺は新郎の大親友で藤宮忠(ふじみやだだし)って言うんだ。綾(りょう)君には1年前に1度会ってるけど忘れちゃったかな?」
1年前、僕の世界から色が失くなった。
思い出せないし知らない人と仲良く話す気にもなれなくて僕は返事もしないでフィッと姉の方に視線を戻した。
姉は旦那様の隣で幸せそうに笑っている。
僕も姉みたいに女性に生まれていれば彼とは別れてなかったんだろうか?
「間違えたかな?東雲綾(しののめりょう)君だよね。」
「・・・・・。」
「うわぁ〜。めちゃくちゃ警戒してる?さっきも話したけど新郎の大親友。」
何度も同じ事を言わなくても分かる。
心の中で呟いて無視を続けていると諦めたのか静かになった。
周りの人達は姉がブーケを投げるのを今か今かと待っている。
「よし、抜け出すぞ!」
姉がブーケを投げると同時に藤宮さんは僕の腕を掴むと強引に引っ張り走り出した。
その時、僕は抵抗もせずに腕を掴まれたままどうして一緒に走ったのだろうか?
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