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 世界が回っていた。  どうやって家まで辿り着いたのかも分からない。  酒は飲んでいないはずなのに、頭の中は泥酔よりも酷い状態でぐらぐらしていた。 「秋良さん!?どこに行ったのか心配し…ぁっ!」  家を出たオレを待っていたのか、珍しくパジャマ姿の小夜子が出迎えてくれた。いつもなら申し訳ないと思うのだが、その時はただただ怒りが湧き上がる。  彼女が、いなければ  その肩を乱暴に押しやり、声を上げてよろける彼女を置いて部屋へとこもる。  指輪を握り締めた手を、机へと叩き付けた。 「見合い…ですか?」  そう尋ねる返すと、養父はやや固い表情で頷いた。 「急ですね」  養母の作った筑前煮を食べる箸を止めると、父に向かって顔を向ける。 「どうだ?お前、また別れたそうじゃないか」  父の言葉に、母にちらりと目をやるとわざとらしくキッチンへと立ち上がる。  情報元は母か…彼女の事を気に入っていたからな…久し振りに顔を見せろと言ったのも、この話があったからか… 『私といても、全然楽しそうじゃないし…』  ふと、先日別れた彼女の言葉が思い出される。 「向こうが偉く乗り気でな…」  そう言って進めてくるが、その鼻息を見ていると、父も乗り気だと言う事が分かる。  ぼんやりと、聞き流しながら彼女が続けた言葉を心の中で繰り返した。 『ねぇ、私の事見てる?魅力を感じてくれてる?私達、もう長い事、キスもしてないよね?』 『あなた…ホモ?』

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