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うつ伏せに寝ていたらしく、痛む首を動かして辺りを見回す。
日差しの中に、ほっそりとした背中と茶色い髪の人物がこちらに背を向けてベッドに腰掛けているのが見えた。
「…ぁ……」
アルコールに支配されていない、はっきりとした頭で彼を見る。
手を伸ばせば届く位置に居る。
胸が詰まる程の歓喜に秋良は飛び起き、ぽつりぽつりと情交の後を残した背中に呼びかけた。
「圭吾」
抱いた肩の感触に違和感を感じて指が強張る。
滑らかな曲線、細い体、良く似合う茶色の肩までの髪。
けれど…
「秋良さん」
名前を呼ぶか細い声に、全身が粟立った。
「似ていますか……。圭吾と…」
「さよ……っ」
秋良は、ざぁっと音を立てて血が下がるのを感じながら、よろりと後ろへと後ずさる。それを追う様に、ベッドに腰掛けた人物がゆっくりと振り返った。
色白な頬にゆっくりと涙が流れ伝う。
「………『愛してる』って…なんですか……」
わなわなと震える唇がそう搾り出す。
そちらを見る苦痛に秋良が目を伏せると、いつも清潔に保たれていたシーツに染みが浮かび上がっていた。
赤い、破瓜の印に心臓が跳ね上がる。
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