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 間に合わせに買った簡易の薄いマットとタオルケットの寝床で二人寄り添って眠っているはずだった。 「…ん……」  腕にある筈の重みと傍らにある筈の存在感のなさに、秋良は一瞬のうちに覚醒して飛び上がった。  まだ電気もないそのその部屋は、狭いとは言え深夜のせいか暗闇に沈み込み、すべてを覆い隠すかのような沈黙が支配している。 「…」  息を詰め、圭吾の姿が見つからない恐怖に冷えた心を宥める。  静かさが、胸に痛い… 「………」  自分の呼吸音が一番大きく聞こえる時間がしばらく過ぎた頃、  ――――…  ――…――  それは小さな話声のようだった。  ひやりと脳裏に過るのは、圭吾が恭司と連絡を取り合っているのではないかと言う懸念。  夜中にこっそりと話さなくてはならないような事柄を話しているのかと、ジリ…とした焼けるような感覚に胸を押さえた。  足音を忍ばせ、フローリングに自分の足裏がしっとりと張り付くのを感じながら引き戸を隔てたキッチンの方へと近付く。

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