つい、その反応に悪戯心が湧いてしまった。 本当に揶揄うつもりだけで 「そうだよな…。気持ち悪かったよな、ごめんな」 そう言って手を離し、ゆっくりと身体も離して 「僕みたいな奴となんて、嫌だよな」 ちょっと伏せ目にして、背中を向ける。 「帰って良いから…。家庭教師も…言われた通りに辞める。ごめんな」 そう言って黙り込んだ。 「あ…あの…」 戸惑うような声が背後から聞こえ （腹黒とは言っても、所詮は高校生。ちょろいちょろい） 心の中でにんまり笑って、後はもっと悲壮感出して…って、次の手段を考えようとした時だった。 突然腕を掴まれて、抱き締められた。 （え…？） 突然の出来事に驚いていると、ひょいと抱き上げられてズンズンとクソガキが歩き出す。 「え？ちょっと？」 驚いて顔を見上げると 「条件、飲めば良いんですよね？」 って、ニヤリと笑って僕を見下ろした。 「ちょ…」 慌てて降りようと暴れると 「ジッとしてて下さい。貴方から誘ったんですから、責任取ってくれるんですよね？」 そう言われて、ベッドに下される。 「え？だって…嫌なんだよね？」 突然の変貌ぶりに唖然としていると 「渚に手を出されるのは嫌ですが、俺が貴方を抱くのにはなんの問題も無いですよ」 にっこり微笑まれて言われてしまった。 生意気にも、さっさと着ていた上着を脱いで臨戦態勢を取って来た。 （このクソガキ！） 僕は腹の中で文句を言いながら 「へぇ…満足させれるのか楽しみだよ」 そう言って自分のシャツのボタンを外そうとすると、その手を止められて顎を掴まれた。 「服を脱がせる楽しみ、奪わないで欲しいんだけどな…」 そう言われて、唇を重ねられる。 さっきまで、真っ赤な顔をしてガチガチに固まってたくせに！ これだから、外面が良い奴は信用出来ないんだよ。 心の中で呟きながら、差し込まれた舌を受け入れる。キスは一方的で荒々しくて、いかにも高校生ってキスだった。 キスをしながらシャツのボタンを外され、僕は甘えるように首に抱き付いて 「下も…脱がせて」 って、キスの合間に囁く。 前の留め金を外されファスナーを下ろすと、下着ごと脱ぎ捨てた。 上半身シャツだけの姿で、わざと恥じらうように前を隠す。 その瞬間、クソガキの目の色が変わり、強引に腕を掴まれて引き寄せられる。 「あ…っ」 小さくよろけてしまい、クソガキの鍛えられた胸の中に抱きしめられる。 激しく脈打つ鼓動が、クソガキが興奮しているのを伝えてくれる。 そっと頬に触れられて、甘えるように擦り寄せると 「あんた…本当に……」 そう吐き出すように言われて、押し倒された。 その後、子供を揶揄うのは辞めようと心に誓うことになるなんて…夢にも思わなかった。