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第77話
すると海は口元を押さえて
「いや…あの…、想像以上にやばいです」
そう言って顔を両手で覆う。
「え?やっぱり似合わない?」
羞恥心が込み上げて慌てて取ろうとすると、海の手が僕の手を掴む。
「折角、綺麗に結んだんですから、俺に解かせて下さいよ」
そう言ってから
「でも…勿体ない気もする」
って言って、海がベッドから降りようとした。慌てて腰を掴んで引き止めると
「何をするつもりだ?」
と海に目を座らせて訊いてみた。
「え?写真撮りたいです。動画でも良いですよ。しばらく、それで抜けます!」
真剣に言う海に
「ばっ…馬鹿じゃないの!」
って叫んで
「写メも動画もダメ!」
そう叫ぶと、悲しそうな顔をしてベッドに戻って来た。
その姿は、餌をお預けされた子犬のようだ。
「じゃあ、目に…脳裏に焼き付けます」
そう言うと、僕の頬を両手で覆って上を向かせた。愛おしそうに見つめる海の視線に、僕の心臓がドキドキと高鳴る。
そっと唇が重なり抱き寄せられた時
「あ!ごめん。大事な事、忘れた」
と、ムードをぶち壊す声で叫んで海から離れ、そして向き合う形でベッドの上で座ると
「まだ…誕生日には少し早いけど…。お誕生日おめでとう、海。生まれて来てくれて、そして僕と出会って、僕を愛してくれてありがとう」
心からそう伝えた。
「和哉さん…」
今にも泣きそうな海の頬に触れて
「僕には何もないけど…、今日からの僕の未来を全て海に上げる」
って伝えた。
海は驚いたように目を見開き、僕を凝視している。
「海、愛してる。未来永劫、僕の心も身体も…全て海に捧げるよ」
そう言うと、海はポロポロと涙を流し始めた。
「ええ!ここで泣く?」
驚く僕に
「ずっと…あなたが好きでした。初めて会ったあの日からずっと…。だから、今が夢のようで…。きっと和哉さんは、俺と離れても平気なんだと…。いつもと変わらない生活をしているんだと思っていました。だから…、こんな風に祝って頂けて…しかも、こんな凄いプレゼントまで…」
そう言って僕を抱き締めた。
「全然、平気じゃないよ!もう、毎日、毎日、海の事を考えてたよ」
僕は海の首に手を回して言うと
「海…恋しいって、こんな気持ちなんだな」
と言うと、海の唇が僕の唇を奪う。
押し倒されて、何度もキスを重ねる。
やっと唇が離れて、海の唇が僕の肌を伝う。
僕がそっと海の頭を抱き寄せ
「海…返品は認めないからな…。覚悟しろよ」
て呟くと、海僕の胸の所で結ばれたリボンを解いて
「俺が一番欲しかったプレゼントを、返品する訳ないでしょう」
と言って僕の手を掴むと、海の立ち上がった場所へ誘う。
もう、既にガチガチに硬くなったそこに触れると
「すみません。こんな可愛いことをされてしまったので、手加減出来ません」
そう囁かれて、僕は抱き付いて
「手加減なんてしなくて良い…。思い切り抱いて…」
って答えた。
……これが、後々後悔することになるとは、この時は夢にも思わなった。
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