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第84話

プロポーズを受けてから、あれよあれよと言う間に結婚式の準備が進んで行った。 「それにしても、良く一条さんが許してくれたね」 インターネットで区役所へ結婚式の予約を入れている海に、僕はベッドで寝転びながら呟いた。 すると海は苦笑いして 「母さんがノリノリで…」 って答えると 「女子校だったから、全然大丈夫。むしろwelcomeよ!って言ってたよ」 そう言いながら予約を完了させていた。 「ハイスクールの新学期が9月だから、それまでに新居探したりバイトしないと…」 海はそう言いながら、ベッドに寝転んでいる僕を布団ごと抱き締めた。 「親父から、学費は出すけど生活費は自分でなんとかしろ!って言われからね」 海はそう言うと 「小関さんの紹介で、バイト先はもう決まってはいるんだけどね」 って言って笑っている。 「ねぇ…海は弁護士になりたいの?」 僕がそう呟くと 「検事も捨て難かったのですが、大槻教授から、和哉さんはしばらくアメリカ暮らしになると聞いたんです。それで、国際弁護士を目指そうと思ったんです」 って答えた。 「ずっと弁護士になりたかったわけじゃないよね?」 海の顔を見上げて言うと 「和哉さんに出会うまでは、特になりたいものは無かったですね。でも今は…弁護士になってあなたを守ると決めたんです」 芯の強い瞳がそう呟いた。 「誰かに助けてもらうんじゃないくて、僕があなたを一生守り続けたかったんです」 そう言われて、涙が溢れた。 「僕…そんなに愛してもらっても、何も返せないよ」 涙を流して呟くと 「バカですね。和哉さんは、俺と一緒に居てくれればそれだけで良いんです」 海の言葉に、僕は素っ裸のままだったのも忘れて抱き着いた。 「海…愛してる。未来永劫、僕はお前以外を愛したりなんかしないよ」 そう言うと、海は僕を抱き締めて 「俺も、和哉さんを一生懸けて愛し抜きます。だから、安心して愛されていて下さい」 って答えたんだ。 僕達は唇を重ね 再びベッドへと倒れ込む。 「海…僕は、海と出会えて…初めて愛される喜びを知ったよ」 そう呟いた。 海は驚いた顔で僕を見つめると、嬉しそうな泣き出しそうな顔で微笑んだ。 「和哉さん…あなたと出会えて、こうして触れ合えて幸せです」 海の言葉は、僕の悲しみを癒して行く。 僕は海のキスを受け止めながら、きっと…海と出会って愛し合う為に、僕は生まれて生きて来たんだと実感した。 僕の身体を撫でる腕も、触れる唇も…そして僕を貫く楔さえも愛おしい。 「和哉さん!和哉さん!」 貫く振動と一緒に、海が僕の名前を呼ぶ。 「海…、愛して…る…。海、海!」 突き上げる速さに追い立てられように、僕は海の背中に爪を立てた。 何度触れ合っていても、もっと…もっと欲しいと思うのは、海だけ。 唇か重なり、激しい突き上げが強く深く穿たれる。 最奥に本日、何度目かの熱い迸りを受け止めた。そして僕も又、自分の熱を吐き出す。 海はギュッと僕を抱き締めて 「やっと捕まえた…。俺の最愛の人」 そう囁いてキスをした。

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