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第40話 mekakusiプレイ*
「って言ってみたけど、目隠しってさー、結局何したらいいわけ?」
アイマスクを自ら付けてみた俺は、この先どうすればいいのか分からずに貴臣の方に体を向ける。
貴臣はどんな顔をしているのか見えないが、同じように困っている風な声が聞こえた。
「そうですねぇ。セックスのマンネリ化にさしあたり、刺激が欲しい人には目隠しプレイがおすすめです、とは出てくるんですが」
「調べてんのかよ」
セックスだなんて言われてめちゃくちゃ照れるので、顔を背ける。
貴臣の言う通り、目隠しプレイはセックス中にするものだろうと俺も思う。
セックスなんて、いくらレッスンだからといって貴臣と出来るわけない。俺はしてもいいけど。いや嘘です。
「じゃあ、このまま俺が自分でするのを見せるってのはどう?」
「兄さん、随分と積極的ですね。さっきはやる気なかったみたいなのに」
「んー……別に」
自分はいま、自棄になっている。
あんなに格好いい人と貴臣が、今後カップルになるって想像したら、胸がざわざわするのだ。
どうあがいても、それを食い止めるのは無理なのに。
できればこのまま、永遠に貴臣とエロいレッスンを続けたい。
全てクリアできる日は来なくて、調子に乗った貴臣が『試しにセックスでもしちゃいますか』なんて提案して、笑いながら愛のあるセックスがしたい。
視界が奪われているからか、妄想がどんどん膨らむ。
貴臣が優しい手つきで、俺の体を弄っている姿が容易に浮かんで、もじもじと膝を動かした。
「オナニーを俺に見られると思うと、興奮したんですか」
本当は違うけど嘯 いて、唇を噛んだ。
貴臣に触ってほしいだなんて言えない。
そう思っていたら、急に綿毛のようなもので頬を撫でられ、肌が粟立った。
「ひゃ……っ」
「そういえば、これがあったのを思い出しました」
「ん……ぁっ」
筆だ。耳の上で柔らかな筆先をこしょこしょと動かされて、自然と肩に力がこもった。
「我慢できなかったら、自分で弄ってもいいですから」
視界からの情報が遮断されているので、余計に聴覚に敏感になる。
今度は反対側の耳を、触れるか触れないかの絶妙な加減でこしょこしょとくすぐられた。
まだ親は帰宅していないが、いつ帰ってくるかも分からないのでなるべく我慢はする。だがやっぱり変な声が漏れてしまう。
「はっ……なんかっ……それっ……」
「耳、気持ちいいんですか?」
「ん……きもち、い……」
「ここら辺は?」
「あっ……! …ぅ……」
首筋をするすると撫でられ、体の中心がジンジンと疼いた。
もうすでに、触って欲を吐き出したくなっている。だがいくらなんでも早すぎるし、羞恥もあって我慢した。
いつどこを触られるか分からない。
貴臣の手じゃないけど、貴臣の意思で筆が動いているのだと思うとちょと嬉しくなる。
もっとしてほしい。それでもっと、気持ちよくさせてほしい。
「なんか……熱い……っ」
「ん? 部屋、暑いですか?」
「じゃなくて……ぁっ……たかおみがっ……触れたとこ……っ」
体がじんわりと熱を帯びていく。
火照り続ける体から逃れるように貴臣の方に腕を伸ばすと、がっしりとした胸板にぶつかった。
そのまま衣服をぎゅっと掴むと、手首になんだかチクチクした細いものが巻き付けられていった。
「へ? な、なにして……」
「せっかくなので、これも一緒に」
貴臣はいつも唐突だ。
アイマスクや筆と一緒に買ったロープで手を拘束され、それが手首に食い込む感覚に体を震わせた。
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