1 / 152

第一章 出会いはクリスマス・イヴ

 温かくきらめく、金色のイルミネーション。  賑やかに響く、クリスマスソング。  楽しそうに歩く、恋人たち。  そんな中を、楠 寿士(くすのき ひさし)は独りで歩いていた。 「クリスマス・イヴを、ボッチで過ごすのは初めてだな」  先月、恋人とは別れた。  というか、捨てた。  寿士より一つ年下の、大学2年生だった。  申し分のないルックスだったが、その性格がだんだん鼻につくようになってきたのだ。  寿士は、度の過ぎた『かまってちゃん』は嫌いだった。    一ヶ月も前からクリスマスの話をぐいぐい押してきて、ペアのプレゼントが欲しい、こういうのがいい、だのと毎日うるさく言い寄って来る恋人に嫌気がさした。

ともだちにシェアしよう!