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第一章・2

 もう少しでショッピングモールを抜ける、という所で大きな声が響いていた。 「ケーキはいかがですか!? クリスマスケーキは、いかがですかぁ!」  洋菓子店の前に出された仮設の売り台の上には、5個ほどの大きな箱が積んである。  しかし、もう21時になろうというのだ。  この時刻では、売れないだろう。  寿士がその横を通り過ぎる時、売り子のサンタに声を掛けられた。 「ケーキは、いかがですか?」  興味なさげにちらりと見たが、そのサンタには気を引かれた。 (ミニスカサンタだ)  この寒いのに肩を出し、ミニスカートを履いたその姿。  露出が大きいので、その体の線も見て取れる。  サンタは、細く、薄い体つきをしていた。  おそらく、まだ高校生だろう。 「君、男の子?」 「あ、はい……」 「何で、ミニスカなの?」 「店長が、これしかないから、って」  店長グッジョブ、と思いながら、寿士はこのミニスカサンタと会話を始めた。

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