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第九章 ハッピー・バレンタイン
「やっぱり寿士さんに、好き、ってことをもっとアピールしなきゃダメなのかな」
そう考えた瑠衣はサイトを検索し、美味しそうなチョコレート菓子を眺めていた。
今日は、2月12日。
「バレンタインデーに、手作りチョコを渡してみよう!」
そうすれば、僕の想いに気づいてくれるかもしれない。
食通の寿士さんを唸らせるような、それでいて、僕でも作れそうなチョコレートは……。
「ガナッシュチョコケーキ。『簡単にできますが、とびきり美味しいガナッシュチョコケーキです』これだ!」
瑠衣はレシピを確認し、街へ出て材料をそろえた。
急いで帰宅し、キッチンに立つ。
「え~っと? 『型にクッキングシートを敷く。薄力粉とココアを、ふるっておく』なるほど」
キッチンは、もうもうとした白と茶の粉に包まれた。
「次は、『ボールに卵を入れ、上白糖を2回に分けて入れ泡立てる』っと♪」
キッチンじゅうに、黄色い卵が飛び散った。
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