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第十七章・10
あったかい。
エアコンで温められた部屋。
ふかふかの、お布団。
隣には、寿士さんが……。
「いない!」
翌朝、瑠衣が眼を覚ますと隣に寿士の姿はなかった。
「あれ……?」
代わりに、金のラッピングがされた小箱が置いてある。
「サンタさんが来たんだぁ♡」
瑠衣はもう嬉しくて嬉しくて、ばたばたとキッチンへ走った。
「寿士さん! サンタさんからプレゼントもらったよ!」
「良かったなぁ、瑠衣」
とぼけて卵を焼く寿士が、愛おしい。
何かなぁ、と包みを開くと、そこには美しい時計がきらめいていた。
「すごい……、カッコいい! 何て読むんだろ。BVLGARI? びぶるがり?」
くすくすと寿士は笑った。
「ブルガリ、だよ。そろそろブランドも覚えなきゃな」
そう言う寿士の腕にも、お揃いの時計が。
「寿士さん……!」
胸がいっぱいの瑠衣に、寿士はそっと口づけた。
「メリークリスマス、瑠衣」
「メリークリスマス、寿士さん」
二つの時計が、同じ時を刻む。
二人の人生も、同じ道に重なった。
同じ道を、歩み始めた。
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