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終焉 ⑤★
「井上、準備した?」
そう言って、井上の自身を握っていた右手を井上の股深くに伸ばした。孔の周りに軽く触れる。桜井はふっと笑って井上の耳元で囁いた。
「すげぇ、開いてる」
「……お前が来る時はいつもしてるから。念のため」
「念のため?」
桜井は口角上げて、鏡の中の井上に笑いかけた。
「お前と俺がここで会って、ヤらなかった日なんてないだろ」
ヤるために、会ってたんだから。
そうだ。こいつの誘うような笑顔に引き寄せられて。井上の喘ぐ顔が見たくて。井上のことしか考えられなくなって。
こいつに会った瞬間から。こいつを自分の物にしたいって、強く思う。いつも。
桜井は素早く井上の腰を両手で掴んで引き上げた。
「ちょっ……」
井上がバランスを崩しそうになり慌てて両手を床について四つん這いになる。
「急になんだよっ」
振り向いて怒りを露わにする井上を無視して、桜井は素早く着ていた残りの服を全て脱いだ。遠慮もなく、井上の中へと自分の自身を突き入れた。
「んっ……」
井上が小さく声を上げる。初めから抽送を早めて強く突いた。
「あっ、あっ、ちょっ、んっ」
それ以上文句を言わせる余裕などできぬよう、休むことなく快感を与え続けた。井上の体のことはよく分かっている。下手すれば彼女のそれよりもずっと。なんせ、会ってすることと言えば、こうして抱き合うことだけだったのだから。
確実に井上が感じる箇所を攻めていく。あの、敏感な場所の位置も。井上が感じやすいタイミングで。
「ああっ……そこ……ダメ……ああっ、ああっ」
びくびくと絶え間なく井上の体が震えた。
「ちょ……も……ダメだって……」
「ダメなの?」
そう言って、ぴたりと動きを止めた。はあはあと荒い息を吐きながら井上が振り向いた。
「お前……この後におよんで焦らす気か」
「だって、井上が言ったじゃん。ダメだって」
「言葉の綾だろーが。酌み取れよっ」
「そしたら、ちゃんと言って。言葉の綾なんかじゃなくて」
「はあ? 何を?」
「欲しいんだったら、言って」
「…………」
ちゃんと。はっきり。
桜井をじっと見つめていた井上がゆっくりと口を開いた。そして、はっきりとその言葉を口にした。
「桜井が、欲しい」
「…………」
「桜井と、もっと激しく繋がりたい」
「……酌み取った」
桜井は再び腰を強く動かし始めた。
「あっ、あっ、あっ、あっ」
背中を仰け反らせて、井上が声を漏らす。桜井と井上が繋がるその部分から卑猥な音が響いた。苦しそうで、でもどこか恍惚とした表情の井上を鏡越しに見る。その鏡の存在も忘れて感じるままに喘ぐ井上の顔が、堪らなくそそる。
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