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第4話ー風翔sideー

「にぃに、だいじょぶ?」 「うん、大丈夫。」 俺は風哉の頭を撫でた。 (……俺の胸ぐらを掴んだ時、梶村、辛そうな表情してた。 アイツも、何かあるのか?) 「………あの、瑛一さん…。」 「なに?」 「俺、アイツ……先生になんかまずいこと言いました?」 気になった俺は瑛一さんに聞いてみた。 「まぁ、言ったと言えば、言った。 兄さんに、家族とかの話はしない方がいい。」 「……なんで、こんなに恵まれてるくせに……。」 「確かに、兄さんはあの大手の梶村家の長男だから恵まれてるよ。 それが本当の親ならね。」 「……えっ?」 (本当の親なら……?) 「あとは本人に聞くことが1番だよ。 僕、明日、早いからもう寝るね。」 瑛一さんは隣の部屋に行った。 俺は眠そうな風哉を抱きしめソファーに座った。 (本当の親なら…? 見えてるものが全てじゃない? どういうことだ?) 「スゥースゥー……。」 俺は寝た風哉を隣の部屋で寝かせ、ソファーで梶村がお風呂から上がるのを待った。 「…………」 「あっ、梶村……。」 数分後、梶村がお風呂からあがった。 「さっきは、すいませんでした。 胸ぐらを掴んだりして。 俺……私、どうかしてました。」 (……また、辛そうな顔してる。) 「私、寝ますのでどうぞ、風間くんもおやすみになってください。」 梶村は自分の部屋に行こうとした。 だから、俺は思わず梶村の手を掴んだ。 「……かざ、ま、くん?」 「……悪かった。 何も知らないで、あんな事、言って。 お前が何を抱えてるかは知らない。 でも、素を隠されると、なんか悲しい。 俺の前だけでも、素を隠さないで、欲しい。」 「…………そう言って、あなたも私を見てくれない。 私自身を、愛してはくれない。 なら、自分を隠す方がいい……。」 (……なんでかコイツの辛そうな顔を見ると胸が締め付けられるように痛い。) 「そんな事……」 「あるんだよっ! 私は、あなたが好きです。 だから、あなたに私自身を否定されたら、苦しい。 だったら、もう、期待しない方がいい…。」 梶村はそう呟いた後、自分の部屋に行った。 (梶村は、俺が好き? なら、なんで襲ってこないんだよ。 俺の周りの奴は皆、俺を襲ってきた。 「好きだから」とか「欲求不満だから」とか色んな理由をつけて。 もしかして、梶村は、アイツだけは……他の奴と違うのかもしれない。) 俺は心の奥底にモヤモヤを抱えたまま寝床についた。

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