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第5話

 がさごそと衣擦れの音でリョウが目を覚ますと、アヤが財布とキーを持って出かけようとしていた。 「どこ行くん?」 「煙草切れたからコンビニ」 「俺も行く!」 「何考えてるんだよ無理に決まってるだろ」 「ほらそこ、そこに入れて」  リョウがそこ、と指さすのはアヤのワイシャツの胸ポケット。 「なんか昔そんなドラマあったやん?なあ連れてってえなあ~」  気が進まないながらも試しにリョウをポケットに入れてみると…… 「わあ!ぴったり!楽し~!」  とてつもなく可愛い。ポケットからひょっこり顔を出すそのさまも、大はしゃぎの様子も。  おそるおそる、外へ出る。マンションの廊下、エレベーターを過ぎれば、頭もポケットの中にしまいこむ。  外の景色を見ることができないのは残念だが、またとない貴重な体験にリョウはワクワクが止まらない。アヤが歩くたびに大きく上下に震動し、少し酔いそうにもなるが、胸からはアヤの体温を感じるし、すっぽり包み込まれているという感覚がなんとも心満たされる。  コンビニに到着し、品定めをするために歩みが止まる。震動していた時にはわからなかったアヤの鼓動を全身で感じ、不思議な感覚だ。  不思議と言えば、平坦なはずのアヤの胸にさっきから異物感があり、気になっていたのだが、これはもしかして――  その部分的に出っ張ったところを、窓拭きするように両手でさすってみた。 「!」  案の定、アヤの体がぴくりと揺れた。  そう、リョウが日頃からよくいじめている、アヤの敏感なところ。現在の状況のリョウから見るとそれはハンバーガーぐらいの大きさだ。  相変わらず窓拭きするように両手を上下運動させていたら、やっぱりアヤが怒りだした。 「やめろよ」  周りからは一人で来ているようにしか見えないので、ひそひそ声で制するが、リョウは周りにばれてはいけないのをいいことにスルーだ。それどころか、大きく口を開けてその出っ張りをシャツごしに口に含んだ。 「リョウって!」  アヤの体に震えが走った。リョウは楽しくて仕方がない。いくら怒ってみたところで、ここではどうすることもできない。大声で怒鳴ることも、このポケットからリョウをつまみ出すことも。  家に着くまでこうしててやろう。さっきのお返しだ。  リョウはニヤニヤしながら擦って吸っての責めを楽しんだ。  その後リョウがどうなったかは、言わずもがな、である。

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