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「望んだものはただ、ひとつ」2-6
「あ、あの……、これは?」
ちょうど潤の古文書を読み終えた夜、湯浴みから戻ったシェリダンは私室に家具が増えていることに気付き、それを指さして後ろにいるアルフレッドを振り返った。
大きな王妃の私室、そのバルコニーにも通じる大窓の近くに横長の、ソファーとは形状が少し異なるモノが置かれていた。
「寝椅子だ。あのソファーは横になるには少し狭いからな。軽い読書をするときなどは、この寝椅子の方が身体が楽だろう」
ヒョイとシェリダンを抱き上げて寝椅子に横たわらせる。確かにクッションに背を預ければソファーやテーブル椅子よりも身体が楽だった。物珍しいのかレイルが駆け寄ってきてブンブンと尻尾を振ってシェリダンを見つめている。そんな可愛い姿に微笑んで、シェリダンはレイルを抱き上げて膝に乗せた。アルフレッドも側に座り、そっとシェリダンの頭の後ろに手を回して引き寄せ、口づける。
「ありがとうございます」
甘い声音に、アルフレッドはシェリダンの唇を貪った。身体を寄せ口づけを交わす二人にレイルは静かにシェリダンの膝を離れ、自分の寝床で新しくアルフレッドに与えられたオモチャと戯れる。
その日以来、シェリダンは私室での多くの時間を窓際の寝椅子で過ごした。
シェリダンがより快適に過ごせるようクッションなどをアルフレッドが吟味するまで、あともう少し。
次のお話ができるまで、しばしお休みさせていただきます。
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