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DVD ①
由美の家で4時間ほど過ごしてから帰宅した。由美が手料理を振る舞ってくれると言ったので、その言葉に甘えて夕飯もご馳走になりのんびりと過ごした。結局家に着いたのは10時過ぎぐらいだった。
「あれ」
真っ直ぐに自分の部屋へ向かってドアを開けると。亜貴が俺のベッドの上に寝転がって俺の漫画を読んでいた。
「何してんの?」
そう尋ねるが、亜貴は俺の問いには答えずに、持っていた漫画本の影から若干膨れた顔を見せた。軽くこちらを睨んで口を開く。
「遅い」
「……そうか?」
「おん。ずーっと待ってたんやで」
「やけど、俺、言うたやろ? 今日、由美と帰るって」
「……一緒に帰るんは知っとったけど、こんな遅なるって知らへんかった」
「遅い言うてもまだ10時やん」
「やけど、もうゆっくり映画観れへんやん」
「映画?」
「おん。今日帰りにレンタル屋行ったら、洋介の好きそうなんがあったから借りてきてんけど」
亜貴が視線をベッドの上に放りっぱなしになっていたレンタル屋の袋に移した。
「どんなやつ?」
「ホラー。めっちゃ怖そうなやつ」
「俺は好きやけど、お前ダメやんか」
「やけど、面白そうやったし、洋介と一緒やったら楽しく観れるんちゃうかと思うてん」
お菓子も用意しとったのに。と子供みたいに相変わらず頬を膨らませて拗ねている亜貴を見て、なんだか待たせたのが申し訳なくなってきた。いや、俺、全然悪くないんやけど。なんやかんやで俺は亜貴には甘い。
「そしたら観ようや、今から」
「……やけど、遅なるやろ? 明日学校あるし」
「今からやったら全然いけるやろ」
ほら、そう言って俺はベッドの上の袋からDVDを取り出すと、自室に設置されているプレーヤーへとセットした。
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