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DVD ②

 いつも一緒にテレビを見る定位置に俺が座ると、亜貴がしばらくしてベッドから降りてきた。俺の隣に腰を下ろす。が。 「やっぱ、帰るわ」  そう言って立ち上がった。 「なんで?」 「なんとなく。もう見る気せえへん」  亜貴がさっさと部屋を出て行こうとする前に、素早く亜貴の腕を掴んだ。 「亜貴」 「……なん」 「なんで怒ってるん?」 「怒ってへんよ」 「怒ってるやん。何年の付き合いやと思うてねん。お前が拗ねたり怒ったりするのなん、すぐ分かるで」 「……やったら」 「え?」  亜貴が振り返って俺をきっと睨んだ。少し涙目になっている亜貴の顔にドキリとする。 「長い付き合いなんやろ? 俺のことすぐ分かるんやろ? やったら、なんで怒ってるかやって分かるやろ」  そう言い放ち、俺の手を振り払って亜貴は出て行った。  ぜんっぜん、分からへん。  そりゃ、長い付き合いやけど。亜貴のことは、亜貴がいつ誰と初キスして初エッチしたか日付も含めて言えるぐらい分かっとるつもりやけど。  亜貴の心の中までは、俺には分かるはずがない。やって。それが分かるのは亜貴だけやから。 「なんなん、ほんま……」  俺はどうしていいのか分からず、始まってしまったホラー映画をしばらく突っ立ったままぼうっと見ていた。

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