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決断 ②
俺と由美が別れたことはあっという間に学校中に知れ渡った。しかし、どこでどう話が出来上がったのか、俺が由美にこっぴどく振られたことになっていた。でも俺も由美もそれでいいと思った。由美が俺を振ったことにしておいた方が自然だったし、否定して、色々探られたりするより楽だと思えたのだ。
「とにかく。俺なんかやと悪いし。もっとええ男と付き合った方がええやろ、あいつも」
「俺みたいな?」
「アホか」
この件はもちろん亜貴の耳にも入った。亜貴にもなんで??とかなり問い質されたのだ。ただ、亜貴は噂を信じたらしく、俺が由美に振られたと思い込んでいたが。
『なんでなん?? あんなに仲良かったやんか』
『そう見えても、そうでもないこともあんねん』
『……なあ、もしかしてこの前の文化祭ん時の……』
『……関係ないよ、それは』
『怒ったんちゃう? 由美ちゃん。結局ほったらかしにしてもうたんやろ?』
『やから、それとはちゃうことやから』
『やけど……俺のせいもあるし……』
『亜貴』
『…………』
『この話、もうしたないねん』
強めにはっきりと告げた。それ以来、亜貴との間にこの話題が上ることはなかった。
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