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青の章2
「ふ~ん、それでアオちゃんは別の世界に行ったら青龍様って言われて、王様の事好きになっちゃったんだけど、本当は青龍じゃなくて山の民って言われる妖魔の類で。で、アオちゃんは本当はオメガなもんだから王様が発情しちゃって、そんでエッチしちゃったと……」
「……う、ま、まぁそうなるかな?」
身も蓋もない言い方だが間違ってはいない。
「こんな突拍子もない話信じられないよな…… 」
「信じられないもなにも……アオちゃんのその青い瞳見れば嘘じゃないってすぐ分かるよ。コンタクトじゃそんな色にならないしーー。すごい綺麗だね、それ」
「あ、ありがとう 」
自分ではよく分からないが、千尋が心から感心しているようだったで、思わずお礼を言ってしまう。
「それよりも、まさか、アオちゃんがオメガとはね~。いくらアピールしてもなびかないはずだよ……。
ねえ!その煎じ薬、俺が飲んでも効くのかな!?」
千尋がわくわくした顔で聞いてくるので、葵は眉根を寄せて首を振った。
「効くかもしれないけど……正直、飲ませたくない。わりと危ない生薬ばかりで作られてるんだ。長期にわたって飲むようなもんじゃない。なぜか俺は副作用がそんなに出なかったけど、自ら寿命を縮めるようなものだ。子供を望んでるなら尚更だよ」
「そっか~。ガックシ~。発情期無くなったらラッキーって思ったけど、そんなうまくはいかないか」
千尋は紅茶に蜂蜜を追加しながら、それで?と聞いてきた。
「アオちゃんは、なんで悩んでるんだっけ?」
「なんでって、その、俺の事……フェイロンは番にしようとしてくれたんだ。でも、おれは災いをもたらす生き物だから……フェイロンの側にいられないだろ?」
千尋が葵の分の紅茶にも蜂蜜をつぎ足そうとしてくれるのを断りながら、葵は辿々しく答えた。至って真面目なのだが、なんだか女子高生が恋バナをしているような気分になってきてソワソワしてしまう。
「ふ~ん……でもアオちゃんは、その王様の事がすき、とーー」
「す!?う、うん……」
顔を真っ赤にさせて答える葵に、千尋が呆れた顔で答えた。
「は~、アオちゃんすっかり恋する乙女じゃん。可愛すぎるじゃん。あのクールだったアオちゃんはどこに!?だよ。俺もアルファに生まれれば良かったなぁ~」
バリバリとポッキー(千尋が用意した)をかみ砕くようにして食べながら千尋はキッと葵を睨んだ。
「分かってる?アオちゃん、絶対分かってなさそうだから言うけどさ、俺がアオちゃんの番になりたかったって言ってんだよ」
「えっ」
驚いて千尋をまじまじと見つめると、ほのかに頬を染めてそっぽを向いてしまった。
「俺、結構ずっとアオちゃんにアピールしてたと思うんだけど。アオちゃん、すげぇガラスの中に閉じこもってるような雰囲気だったから、下手に刺激して、そのガラスが割れるのも可哀相だなって思って手加減してたけど。いつか、絶対手に入れようと思ってたよ、本当は…… 」
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