77 / 86
★青紫の章1
千尋の背に乗って王城に向かう間、フェイロンは睨むようにずっと前を向いて葵を痛いほど抱きしめていた。
布ごしに伝わるフェイロンの荒い呼吸も葵の誘引フェロモンに引きずられるのを我慢しているのかと思うと、思わずフェロモンが多く漏れ出てしまう気がする。
葵はギュッと目を瞑り、なんとか理性を保とうとするが王城に着く頃には呼吸をすることさえままならぬ程になっていた。
王の私室のすぐ側の渡り廊下に二人を降ろすと、千尋は空気を読んでか「用事がある」と言ってすぐに飛び去った。
フェイロンは葵を横抱きにしたまま大股で私室へ向かう。空から二人が朱雀の背に乗ってやってくるのを待ち構えていた侍従達が周りを囲んで大騒ぎしていたが、全て無視して私室に向かうと「呼ぶまで来ぬように」と人払いだけして私室の広い寝台に葵を横たわらせた。
「葵……」
どちらからともなく唇を合わせる。カラカラな喉に、お互いの体液がオアシスの水のように染みこんだ。
「すまん、次は優しくすると誓っていたのに、我慢出来そうもない……」
フェイロンが汗で張り付いた自分の髪をかき上げながら唸るように言った。フェイロンの気遣いは嬉しかったが、葵も今すぐフェイロンが欲しくてどうにかなりそうだった。
私室にたどり着いてからフェイロンの蠱惑的な香りが、より一層増したような気がする。
「フェイロン……来て……」
羞恥とそれを上回る欲望に涙を浮かばせながら葵は自らの長衣をたくし上げる。下履きは元々履いていない。
この世界には元々存在しないのか、ホンの趣味なのかは分からないが、フェイロンはそれを見て喉の奥を獣のように唸らせた。
「人の気も知らんでっ!」
怒るように葵の両足を抱え上げ、でんぐり返しのような姿勢をとらせる。そのまま足の間に顔を寄せると
、フェイロンの長い舌が葵の後ろの窄まりに入ってきた。
「んあああぁ!やあぁ!そんな!!」
フェイロンの舌はじゅっじゅっと音を立てて解すように中を舐め上げる。次から次へと溢れ出る蜜液がフェイロンの顔を汚した。
「お前を傷つけたくないのだ。こうする方が解れるのが早い」
「やあ!それやぁ!!恥ずかしいんっ」
「恥ずかしい事などあるものか……どういう仕組みなのか……よく濡れる、不思議な体だ。なんともいやらしくも可愛い眺めだ」
ともだちにシェアしよう!