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七種遥の約束
春園スズナ
彼は、双子の弟を愛している。
春園ナズナ。
彼は、双子の兄を愛している。
幽霊と人間の間に恋愛が成り立つのかは分からないが、彼等が愛し合っていることは、この目でいつも見ていた。
この世の闇を煮詰めたような、怨霊と呼ばれるものになってしまったスズナが、ナズナを侵食していく。
私の仕事は、怨霊を祓い、この世とあの世の秩序を守ること。
でも、私は彼らに手を出さない。
スズナを祓わない、ナズナを助けないと約束したからだ。
「俺がいつかスズナに殺されることはなんとなく分かってる。けど、それでいいんだ。」
「それでいいだって!?私に見殺せっていうのか!!」
「好きなんだ。」
「ーーー!」
「ずっと前から好きなんだ、スズナが。幽霊とか怨霊とか関係ないんだ、早くスズナと一緒になりたいんだよ。沢山の友人?輝かしい将来?そんなものどうだっていい。俺が欲しいのはスズナただ一人なんだよ!!!!!」
ナズナが、正常でないことなんて分かってる。
スズナを、見逃してはいけないことも分かってる。
この物語が、ハッピーエンドじゃないことなんて悲しいぐらい分かってる。
「ナズナ」
それでも。
「スズナ」
それでも。
「愛してるよ」
「愛してるよ」
彼らは確かに互いを愛し、互いに愛され、自分達の幸せを掴んだのだ。
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