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♯4 練習曲〝憧憬〟15

 桜也と食事の約束をした当日。  深夜12時、24時間営業のファミリーレストランに、仕事帰りの桜也が姿を見せた。 「お仕事お疲れさま、桜也。とりあえずビールでも頼もうか」  桜也のために注文したビールに、すきを見て睡眠薬を混入する。桜也は疑う様子もなく、ぐいっとそれを飲み干した。  あとは桜也の仕事の愚痴を聞きながら、ひたすら薬が効くのを待つ。  30分もすると、効果があらわれてきた。  桜也の頭が揺れ出し、まばたきの回数が増えてきた。会話も生返事ばかりで全然聞いていない。 「桜也、眠そうだね。 僕、車で来てるんだ。社宅まで送るよ」 「…ん。悪いな、頼むわ」  桜也を助手席に乗せ、車を発進させる。  しばらく車を走らせていると、くうくうと寝息が聞こえてきた。ちらりと確認すると、桜也は車窓にもたれ、ぐっすりと眠っている。  真雪は唇を吊り上げて音もなく笑い、行き先を変更する。目的地は、桜也を保護…いや、監禁するために作った、あの部屋だ。

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