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♯5 ワルツ〝記念日〟3

 今日の夕食は、いつにも増して豪華だった。  彩りあざやかなミモザサラダ。  温かいアヒージョ。  メインはやわらかいローストビーフ。  食後にはショートケーキ。  驚くべきことに、すべて真雪の手作りらしい。  真雪にしては珍しく、今日はまだ桜也の体に触れようとしてこない。  おかげで、桜也は料理を堪能することができた。 「なんかいい事でもあったのか?」  問いかけるが、真雪は答えない。上機嫌でにこにこしながら、桜也がケーキを食べる様子をながめているだけだ。ただ、その視線は妙に熱っぽい。 「つーか、おまえは食わねえのかよ」 「食べるよ。もちろん」  手が止まってしまった桜也のかわりに、ケーキをさしたフォークを桜也の口に運んでから、真雪は桜也を持ち上げた。いわゆる“お姫様抱っこ”というやつだ。 「ちょ…なにすんだよ、真雪!」  ベッドに運ばれ、あおむけに横たえさせられる。  真雪は子どものような無邪気な顔で、冷蔵庫から生クリームが詰まった絞り袋を取り出していた。

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