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♯6 スケルツォ〝転調〟9

「まゆき、お願い、これ、取って…! もう、苦し…、…あ、ああ、なに、これ……」  桜也の体が変化し始める。  肌が熱を持ち、濃いピンク色に色づいていく。 「熱い、あつい…! 体の奥が、熱い…! やああっ、助けて、おかしく、なるぅ…!」  放出できない熱が、血液にのって、桜也の体を駆け巡っていく。しばらくもがいていた桜也は、ついに快感に屈服した。 「あ、ああ、ああああ…!」  桜也は背中を反らして達する。  間違いなく達したはずだ。だって、桜也の中がこんなにぎゅうぎゅうと締め付けてくるんだから。あんなにかわいいイキ顔を見せてくれているんだから。  だが、桜也のものからは何も出ない。 「どう、桜也? 気持ちいい?」  桜也は返事もできず、はっはっと荒い息を吐く。全身の毛穴から汗が噴き出し、桜色の肌をしっとりと濡らす。  苦しそうに眉を寄せているのに、口元をとろんと弛緩させた顔。  イッた後の桜也は、本当に美しい。  うっとりと見惚れながら、真雪はほんの少し腰を引く。と同時に、桜也の体がびくっと跳ねた。

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