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第7話
「俺は、亘さんが好きです」
不安げに、祭が眉をハの字に下げる。映画の熱が冷めないのか、赤く染まった頬と緊張した表情がアンバランスでかわいい。
亘が口を開こうとすると、それを祭が遮る。
「別に付き合いたいとかそういうんじゃなくて! あの。こんな俺ですけど、これからも友達でいてくれますか?」
「それは、ちょっと」
祭がビクッと肩を震わせる。
その肩を正面から掴み、祭の揺れる瞳をじっと覗き込んだ。
「俺は祭さんと付き合いたいです」
「え……。えっ!」
祭は困惑して、華奢な指で口を覆った。
告白した当人の亘も、内心では激しく困惑していた。勢いで言ってしまったが後悔はない。この瞬間に言わなければ、いつ言うというのか。
「でも、俺。男で……」
「そんなこと、関係ありません。祭さんが好きです。ずっと一緒にいたい」
この展開は予想外だったのだろう。祭は困ったようにもじもじしている。
もしかしたら本当に付き合う気は全くなくて、心から亘の言葉に困ってるのかもしれない。いたたまれない沈黙に、嫌な想像をしてしまう。
「……もしかして、そういう『好き』じゃないとか……」
「いえ! そういう『好き』です!」
「それなら、恋人になってもらえますか?」
「こ、恋人!」
祭の顔が、これ以上ないほど真っ赤になる。
「ダメですか?」
「……ダメじゃないです。俺も、亘さんの恋人になりたい」
言い終わらないうちに、亘は祭の体をぐっと抱き寄せた。小柄な祭は、亘の腕にすっぽりと収まる。
今までにない満たされた感覚を味わいながら、明日にでもソファを買いに行こうと亘は思った。
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