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第7話

歯列をなぞられる感触に思わず口が開くと、中に蓮の舌が強引に入って来て口腔内を犯し始める。 唾液も舌を吸い取られるようなキスに、思わず腰が抜ける。 立っていられなくなり、ガックリと腰から蓮の胸元へ倒れ込む。 気が付くと、蓮の身体にもたれかかってキスを受け止めていた。 どの位キスをしていのだろうか? やっと唇が離れる頃には、蓮に縋るように抱き付いてしまっていた。 僕を抱き締める反対側の蓮の手が、ガス台の火をカチャっと音を立てて止める。 その音に、思わずハっと我に返る。 「れ…蓮!何するんだよ!」 慌てて抵抗を始めると、蓮か軽々僕を担いで歩き出した。 「ちょ…何するんだよ!蓮!」 ジタバタと暴れても、鍛え上げられた蓮の身体はビクともしない。 蓮は自分の部屋のドアを開けると、僕をベッドの上へと放り投げた。 『ガチャリ』と鍵の掛かる音に、恐怖が湧き上がる。 「蓮?お前…何してるんだよ」 上半身を起こして蓮のベッドから逃げようとしたその時、蓮がハンガーに掛かっていた制服のネクタイを手にして近付いて来た。 「おい…冗談はやめろ!お前、洒落にならないぞ!」 ベッドに近付く蓮から逃げようと、僕はジリジリと後ろへ逃げる。 でも、すぐに壁にぶつかってしまい、逃げ場を失くしてしまう。 「あそこに居た女…ハルの好みだよな…」 ぽつりと言われて、さっきの綺麗な女性を思い出す。その間、蓮が着ていたTシャツを脱ぎ捨てた 逞しい身体があらわになり、この後に何をしようとしているのか想像が出来て、額に嫌な汗が流れる。 「ああいう、真面目そうでお堅いスーツの中に隠してる巨乳…ハル好きだもんな…」 凶悪な笑みを浮かべて、蓮がゆっくりとした足取りで近付く。 「そんなんじゃ…無い」 必死に首を横に振ると 「隠さなくて良いよ。ハル…又、俺に隠して彼女作るの?」 蓮が片足をベッドに乗せると、『ギシ』っとベッドのスプリングが鳴り響く。 まるで獲物を捕まえる肉食獣のような目で、ゆっくりと僕に近付いてくる。 どうやって逃げようかと、必死に逃げる経路を頭で考える。 睨み合いが続いて、沈黙が流れる。 その沈黙を破ったのは、蓮が僕をベッドへ押し倒した時に鳴ったスプリングが軋む音だった。腕を掴まれ、強引に抱き寄せられるとベッドへと押し倒された。 その時、両腕を掴まれて頭の上で一つにされると、蓮の学生服のネクタイで一つに縛られてしまう。 上半身には蓮の身体が伸し掛かり、自由になる両足をバタバタさせる事しか出来ない。 「蓮、止めろ!何する気なんだよ!」 必死に叫ぶと、蓮はギラギラした目で僕の目を見つめて 「何って?分かってるくせに…」 そう言いながら、ズボンの上からでも分かるほどに熱くなっている蓮自身を、僕の股間に押し付けて来た。 ゆっくりと、まるで挑発するように蓮が腰を揺らして僕の股間に蓮自身をこすりつけて来る。荒くなった蓮の呼吸が耳にかかり 「やべぇ…これだけで…いけそう…」 蓮が掠れた声で囁く。 「お前…ふざけん…」 叫んだ言葉を、唇で塞がれる。 その間に、僕のズボンの留め具を外されてファスナーを下ろされた。 「んん!」 キスされながら抵抗するが、下着に手を差し込まれてズボンを太もものあたりまで降ろされてしまう。 「ハル…ハル…」 キスをしながら、うわごとのように名前を呼び続ける蓮の唇から、必死に顔を反らす。 「蓮、もう止めろ!お前、何考えてるんだよ!」 必死に叫ぶと、蓮が辛そうな顔で僕を見下ろして 「又、俺を裏切るんでしょう?知ってるんだよ…俺。ハル、三年前に彼女居たよね?俺に隠して、付き合ってたよね?」 そう言われて思い出す。 確かに付き合っていた女性は居た。 常連さんの勧めで、お見合いみたいな形で出会った女性だった。 うちの事情を知った上で、蓮とも家族になりたいと言われた女性だった。 ただ、蓮を不安にさせたくなくて、正式に決まるまで隠していた。 でも…結局、他の男性の子供を身篭ってしまい別れたんだっけ…。 紹介してくれた人には物凄く謝られたし、僕も裏切られた気持ちになった。 僕達は、手をつなぐ位の清い関係だった。 それなのに…彼女は僕との縁談を進めながら、他の男に抱かれていたのだ。 ショックで、二度と恋なんてしないと思った。 「違う…」 首を横に振って呟いた僕に 「何が違うの?ねぇ、どうやって誘ったの?どっちからキスしたの?ハル…教えてよ…」 狂気に満ちた目が、僕の目を見つめる。 「ねぇ…分かる?ハルに婚約者が居たって知った時、俺、気が狂いそうになったよ。その女を見つけ出して、八つ裂きにしたいって思った…」 そう言いながら、蓮が僕の頬にそっと触れる。 「ハルに触れて良いのは…俺だけだ…。ハル…あの日の約束を忘れたの?」 蓮の瞳が悲しそうに揺れて 「忘れたから…俺を裏切ったんだよな?それで…今回も裏切ろうとしたんだろう?」 そう呟いた。 (あの日の約束?) ぼんやり思い返す。 多分、家族を亡くした日に交わした約束。 『僕がずっと蓮の傍に居る』 小さな蓮を抱き締めて、交わした大切な約束。

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