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第1話(プロローグ)No.1ホスト紫月の独白
ホスト仲間の帝斗 のことが好きだった。
ヤツとは同期で入店したときからの大事な仲間、どんなときも穏やかで誰にでも気遣いの出来る大人の男だ。
辛いときには空気のように傍にいてくれて慰めの言葉も心に沁みる。
うれしいときはとことん盛り上がれる楽しい奴で、いつの頃からか俺は帝斗の傍にいることが心地よくてたまらなくなっていったんだ。
あいつが居てくれるだけでいい。
あいつと日常を過ごせるだけで幸せだ。
この気持ちが普通の友情以上のものだってことには薄々気が付いてもいた。淡いが、恋慕の気持ちが混じってるだろうことを自覚できてもいた。
それでもいいと思っていた。同じ男としての憧れや、単に人としての尊敬の気持ちを抱きながら、あいつの傍にいられる毎日に満足してた。それ以上、何を望むわけでもなかったんだ。
そう、ヤツが奇妙なちょっかいを仕掛けてくるまでは――
自覚しきれていなかった俺の中に眠る欲望をえぐり出し、掻き乱し、挙句の果てにとんでもない感情を焚き付けやがった……アイツ。
もう一人の同僚の白夜がもたらしたトライアングルに翻弄されることになるなんて、この時の俺は考えもしなかった。
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