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第3話・おかしな出来事のはじまり。(2)

 けれど押し寄せてくるのは羞恥だけではない。 (美青年とセックスをする夢なんて、もう二度と見ることはないんだろうな……)  ――ともすれば、最後までされても良かったかもしれないと残念がる自分もいた。  あんな淫らな夢を見るということは、愛欲に飢えている証拠だ。なにせ篤は、二十四年間ずっとセックスをした経験がない。  この年齢にもなって、後ろどころか前すらもバージンだなんて今どきの若者ならまず考えられないことだ。  だからきっと、欲求不満なのだろう。  篤は達してしまったがために気怠くなった重たい身体をベッドから起こし、とりあえずシャワーを浴びることにした。  今朝方見た夢は、とてもおいしい内容だった。そのおかげで気分は浮き立っていたものの、それでも出社する時間が刻々と近づいてくればやはり落ちてくる。  そして今日もいつもと変わらない、ダメダメ人生のしがない一日がはじまろうとしていた。 《第3話・おかしな出来事のはじまり。・完》

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