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第1章:恋心 1-1 同性を好きになるということ
中学2年生の時、初めて男性を好きになった。
その感情は、ある日突然やってきた。ただ戸惑った。今まで、男性を恋愛対象として見たことがなかったからだ。何かの間違いで、きっと気の迷いだと思い込んでいた。いずれは、この感情も消えて、また前みたいに女性を好きになるものだと思っていた。しかし、現実は、そうはならなくて、日が経つにつれて、自分が抱く感情が恋心だとわかった。そして、この感情は消えるどころか大きくなり続けていった。僕はその感情をひたすらに隠し、誰にも悟られないようにふるまった。自分でもどうして、男性を好きになるのかがわからなかった。ごく自然とその感情は湧き上がったきたのだ。結果的に、その感情は中学を卒業するまで持ち続けることになった。好きだった人とは、高校が別々になり、それで終わった。高校生になったら、また女性を好きになるかもしれないという淡い期待とともに僕の恋心もいつしか消えてしまっていた。
僕は、高校生になった。淡い期待はいとも簡単に裏切られ、また男性に恋をしてしまった。きっかけは、ありがちなものだった。放課後、たまたま校舎からサッカー部の練習が見えた。そこでひと際笑顔で楽しそうにボールを蹴る人がいた。その人を見た時、目が離せなかった。一目惚れだった。そして、この恋は決して叶わないと思った。彼を眺めることしかできなかった。しばらくして彼は、サッカー部のエースだと知った。女子からも人気みたいだった。僕は、何も考えないようにした。何も考えず、単調な自分の日常を歩んだ。何かが起こるわけでもなく、ただ時は過ぎ去った。
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