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1-10 告白を聞いて

月日は流れ5月となった。部活には、順調に新入生が入り、活気があふれている。部活の合間の休憩に、音楽室から見える校庭を眺めると、サッカー部が頑張っていた。 横から凛ちゃんが話しかけてくる。 「新入生たくさん入って、いい感じになってきたね!」 「そうだね。ユーフォにも入ってよかったよ!」 「フルートも上手な子が入ってきて、アタシも頑張んなくちゃって思っちゃった。」 「お互い負けないように頑張ろうね。」 突然、開いている窓から風が吹き抜けた。 「アタシ、藤澤君のことが好きになっちゃったみたい。」 凜ちゃんの急な発言に驚いた。今まで、凜ちゃんとはいろんな話をしたけど、恋愛については、いつも興味ないと言っていたから、誰かを好きだとは思いもしなかった。 しかも藤澤君が好きだとは、、 そんな風には見えなかったのに、、 「そう、、なんだ、、」 「愁君とは、同じ班だし、言っといた方がいいかなってー」 「、、、、応援するよ、、、」 「ありがとう。みんなには内緒ね。」 凜ちゃんは、校庭を見ながら、綺麗な髪をなびかせいていた。 少しの沈黙の後、響君が、やって来て話かけてくる。 「何、話してんの?」 「新入生に負けないように頑張ろうって話ー」 凜ちゃんが、笑顔で答えた。 「確かに今年、上手な人が多いよね。負けないように頑張んないとね。」 「はは、そうだね、、、」 僕は、2人に合わせるように言った。 「休憩は、終わりですわ。みなさん、練習に戻って。」 姫城部長が言い、練習が始まる。練習中、僕は、ずっと凛ちゃんの告白を考えていた。凜ちゃんが藤澤君のことを好きだということに驚きつつも、僕にその気持ちを打ち明けることができる凜ちゃんが素直に羨ましかった。 僕は、藤澤君のことが好きだけれど、決して打ち明けられない、、、 「はぁ、、、」 一人ため息をつく。 僕も思いのたけをぶつけられたら、好きと普通に言えたら、どれだけ生きやすいのだろか、、 人知れず恋をして、浮かれ、そして、終わるのが僕の恋愛の運命なのかもしれない、、 「はぁ、、、」 無意識にため息が続く。 「先輩、大丈夫ですか。」 心配そうに話かけてくれたのは、トランペット担当で1年生の鈴宮奏(すずみや かなで)さんだった。トランペットなので響君とよく練習しているんだけど、いつの間にか響君と仲の良い僕とも親しくなっていた。 「何か悩み事ですか?」 「いや、大丈夫、、、心配かけてごめんね。」 僕は、明るく振る舞った。 「それならよかったです。」 無邪気に笑う彼女の顔に少し救われたような気がした。僕は、気持ちを切り替えて部活の練習に取り組んだ。気づけば、18時を回り、部活が終わった。 帰りの準備を始めていると、響君が話かけてくる。 「帰ろっか。」 「うん。」 凛ちゃんに別れを告げ、いつものように二人で帰る。 帰り道は暗く、風がいつもより冷たく感じた。 帰り道、ずっと凜ちゃんの告白を考えていた。 「悩み事?最近、多いね。」 響君が心配している。 「いや、悩みっていうほどのものじゃないよ。ははは、、」 僕は、元気なく言った。 「凜ちゃんと何かあった?」 「えっ?何にもないけど、、、、」 僕は、驚いた。 「そっか、、、」 響君は、遠くを見つめていた。それから響君は、何も話さなかった。 響君と別れて、一人になる。 風がやたらと冷たく感じ、どうしようもない感情が溢れてくる。 ため息が出る。 はぁ、、、 凜ちゃんに協力しよう、、、 どうせ、自分の恋愛はうまくいかないのだから、、、 凜ちゃんは、大切な友達だし、友達が幸せになるならそれでいいと思った。

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