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1-9 少しの会話
新しいクラスにもだいぶ慣れてきた。武藤君がからかってくることも毎日になると、対応できるようになった。少しだけど、友達っぽくなったような気がする。
「最近の部活どうよ。」
武藤君が、いつものように振り返り話しかけてくる。
「頑張ってるよ。」
「へぇ、頑張ってんだ。」
ニヤニヤと笑っている。
「武藤君こそ、どうなんだよ。」
「頑張ってるよ。」
オウム返しをしておちょくってくる。この感じがほんとにむかつくけど、武藤君なりのコミュニケーションの取り方なのかなと最近は思うようになった。
「勇は、逆に頑張りすぎでしょ!」
凜ちゃんが横から会話に参加し、二人が応酬している。この二人は、仲が良いのか悪いのか、よく言い合いをしている。その光景を僕は、眺めていた。最近になって、藤澤君とほんの少しだけ会話ができるようになった。僕は、思い切って話かけてみた。
「藤澤君は、最近部活どうなの?」
「いつも通りだなー」
いつものようにけだるそうに答える。
「今度部活で応援する機会があったら行くね。」
「あぁ。」
こんな感じ。会話は長く続かない。
けれど、僕にはこの少しの時間が嬉しかった。
「まーた、変な音出すんだろ!」
武藤君が、案の定からかってきた。
「もうしないよー」
僕は、苦笑いをする。凜ちゃんは、武藤君を叱っていた。
藤澤君は、聞いているのかどうかわからず、けだるそうなままだった。
毎日のこんなやり取りに少しだけ幸せを感じていた。
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