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4-8 夜が明けて
明かりで目を覚ます。
「ん、、ん?朝?」
「おはよう。」
後ろから藤澤君が囁いた。
すっかり、暗闇は消え去り、希望に似た光が僕らを照らした。
あぁ、光がこんなにも僕を勇気づけてくれるのかと実感する。
一緒に外へ出ると、天気は、晴れていて、霧はすっかりなくなっていた。樹木に雨の水滴が綺麗に反射している。
「いい天気だな。」
藤澤君は、背伸びをした。
「非常食、まだ残ってるから、食べとけよ。」
「うん」
「左足は、どうだ?」
「昨日よりは、よくなっているみたい。」
「なら、よかった。食べたら、少しでも開けた場所へ行こう。」
「開けた場所?」
「あぁ、ここじゃヘリに見つけられないかもしれないからな。」
そっかぁ、僕らは、遭難していたんだ。
なんだか、藤澤君といるとそんなことをいつの間にか忘れてしまっていた。
準備をし終え、地図とコンパスを見ながら、発見される可能性があるところへゆっくりと移動する。しばらく移動すると、少し開けた場所が見つかった。
「ここがいいだろ。エマージェンシーシートを出してくれるか?」
「わかった。」
エマージェンシーシートを出して渡す。しばらく僕たちは、ここで待つことにした。辺りに、人の気配はなく、待っている時間がとても長く感じた。
もし武藤君たちが、救助を呼べていなかったら、、、
そうなると、僕らは、ずっと山の中なのかなぁ、、、
そもそも武藤君たちは、無事なのかなぁ、、、
気づけば、どんどん不安が広がっていた。
「大丈夫。信じよう。」
藤澤君に僕の気持ちが伝わったのか、手を握ってくれる。
「うん。」
しばらくすると、ヘリコプターの音が聞こえてきた。
「あっ、ヘリコプターの音が聞こえるよ!!」
藤澤君は、エマージェンシーシートを大きく振り、それに気づいたのか、ヘリコプターがこちらに旋回してくる。
「これで、気づいてもらえたな。」
エマージェンシーシートを僕に返してくれて、ザックに入れるように言った。ヘリコプターが徐々に近づいてくる。
今度は、僕からそっと手を握る。
「よかった、、」
藤澤君を見つめて、少しの涙を含んで笑った。
安心したせいか、こんな危機的状況なのに、もう少しだけ藤澤君といたいと思った。多くの人に迷惑をかけているのに、心の底で、藤澤君との時間が終わるのが悲しくて胸が苦しい。
藤澤君は僕の手を強く握り返してくれる。
その手がどこまでも温かった。
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