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4-10 登山を終えて
登山を終えて、学校では少しだけ有名人となった。
会う人、会う人に祝福の言葉を述べられたけど、僕らをよく思わない人たちもいて、陰口を言われることもあった。登山中の判断ミスや、なぜ別行動したのか、様々な面から非難された。僕は、それを黙って聞いていることしかできなかった。
自分でも、何が正しくて何が間違っているのかわからない、、、
議論は、先生たちの間でも盛んになり、登山大会を存続させるかどうかまで話が発展していると聞いた。安全性の担保、そもそもの登山の必要性、伝統行事の継続、何を重要視していくのか、結論は未だに出ないままだった。
いつもの帰り道。響君にもかなり心配をかけてしまった。
「いろいろ言う人いるけどさ、僕は、愁君が無事でいてくれて、それだけで、よかったよ!」
響君は、僕を励ましてくれる。
「ごめんね。また心配かけちゃって、、」
「本当だよ。遭難の一報を聞いた時は、心臓が止まりそうだった。」
「ほんと、ごめんね。みんなにまた迷惑かけちゃったよね、、」
響君は僕を抱きしめた。
「もう自分を責めるのをやめなよ。けど、次は、なしだよ。」
「わかってるよ、、」
僕は、力なく笑った。
「それより、遭難後、ますます藤澤君と仲良さそうだけど、何かあった?」
遭難後、僕と藤澤君は、今まで以上に話すようになった。
「別に、、、何もないよ、、」
「ふーん、もう付き合ってたりして?」
「えっ、違うよー」
「ふーん、、」
何か含んだ顔をしている。
「もう、」
僕は、ムッとしてみた。
「ごめんって。」
「許さないよーだ!!」
僕たちは、また笑った。
いつもの帰り道、少しだけ風が冷たくなり、秋の訪れを感じるようになった。
時があっという間に過ぎていく。
この帰り道もいつかは、通らなくなるのだろうか。
それが、なぜだが無性に寂しくなった。
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第四章、終わりました!!ここまで読んでくださってありがとうございます!!!!藤澤君と愁君の関係が、海よりも進みました(*´ω`*)
もう付き合いなよ!と、書いている僕も思うんですが、まだまだ先は遠そうですが、あともう少しのような気もする!!
次は、第五章、体育祭。この章は、武藤君が攻めてきます!!
引き続き、読んでくだされば、幸いございます。
シュンより
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