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6-7 ダンスは楽しくて
校庭に出ると、辺りは、すでに暗かった。
校庭の真中に大きな炎があり、その炎は、天まで高く昇りそうな勢いで燃えていて、みんなが、炎を囲み、興奮している。
僕は、藤澤君を探した。
けれど、なかなか会うことができない。
「一年生から、踊りますので、準備をしてください。」
アナウンスが流れ、一年生が、炎を囲んで並び始めた。
曲が始まり、みんなが、楽しく踊っている。
「あー、愁君、いた!」
優君が声をかけてくれて、隣には重岡君もいる。
「優君!!」
「歌、すごくよかった!!感動したよ!!絶対、伝わったよ!」
優君が、興奮ぎみに言った。
「とても素晴らしかったですよ。」
重岡君は、冷静に褒めてくれた。
「ありがとう、、」
「藤澤君に会った?」
優君が重岡君に聞かれないように、僕の耳元で囁いた。
「まだ、、会えなくて、、、」
「探してきなよー」
僕の背中を優しく押した。
「わかった、じゃあ、またあとで!!」
僕は、辺りを見渡し、藤澤君を探す。
どこにいるんだろう、、
「おー!愁君!」
後ろから凛君が話かけてきて、隣には、武藤君もいる。
「すげぇーよかった!!両想い、間違いなしだな!!」
笑いながら、僕の肩を叩く。
「けっ、」
武藤君がふてくされている。
「おら、勇!お前も歌声に感動してただろ!!」
武藤君も聞いていたんだぁ、、、
なんだか、恥ずかしいなぁ、、
「余計なこと言うな!」
「恭を探してんだろ?向こうにいたから、行って来いよ!!」
凛君も優君と同じように僕の背中を押してくれた。
「ありがとう!!!」
凛君に教えられた場所へ行くと、そこには、もういなかった。
「三年生は、ダンスの準備をしてください!!」
あっ、もうこんな時間か。
適当に並ぶと、すぐに音楽が始まり、踊り始める。
踊る人が変わり響君との番となる。
「大丈夫?」
「大丈夫!大丈夫!」
さっきとは違い、いつもの響君に戻っていたので、一安心した。僕は、響君と楽しく踊った。
そして、重岡君との番、そして、武藤君との番となる。
二人とも楽しく踊った。
どんどん人が変わる。
このまま、変われば、藤澤君に会えるかな、、
そして、藤澤君との番となり、やっと会うことができた。
藤澤君が僕を見つめると、自分の体温が上がるのを感じた。
優しく僕の手をとり、その手は、どこまでも温かい。
僕らは、曲に合わせて踊り始めた。
踊っている最中、今まで見たことのない笑顔で笑ってくれて、この笑顔は、僕だけに向けられているんだと感じる。
一緒に笑り、楽しく、軽快に、踊り続ける。
あぁ、楽しいなぁ。
もっと、この時間が続いて欲しい。
ちょうど、三年生が躍る時間が終わった。
「ここからは、自由参加です。踊りたい人は、時間いっぱいまで踊ってください。」
お互いの目が合い、手を差し出された。
僕は、そっと、その手をとった。
僕たちは、時間一杯まで踊り続けた。
いつしかダンスは終わり、自由時間となった。
遠くから、燃え上がる炎を二人で見つめると、その炎は、とても綺麗だと感じた。
藤澤君が僕を見つめた。
その顔を炎が照らし、たまらなくかっこよく見える。
「山口のことが、好きだ。」
あぁ、伝わった。
僕の思いが、ちゃんと伝わったんだ。
自然と目から、涙が落ちた。
「僕も、藤澤君のことが大好き。」
そして、強く抱きしめられる。
君とならどこまでも翔けていけるような気がした。
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第六章終わりました。
やっと、結ばれたよー、はぁ、長かったよぉー(*´ω`*)
ここまで読み続けてくださり、感謝しかないです。
ありがとうございます。
これから、第七章:夢を追いかけて に入ります。
引き続きよろしくお願いいたします。
シュン
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