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7-7 対峙
(視点:藤澤君)
山口と別れた帰り道、俺は、公園での出来事を思い出していた。久しぶりにやったサッカーは、やっぱり楽しかった。
またボールを蹴るきっかけをくれたのは、山口だ。
俺にもう一度、サッカーをやって欲しいという思いが伝わった。
山口は、本当に優しくて、出会えてよかったと思う。
おかげで、一歩前に進めた気がする。
これで、サッカーを続ける覚悟ができた。
やっぱりサッカーが好きだし、もし、また怪我をして、サッカーができなくなったら、その時は、その時だ。
先のことは誰にもわからない。
それなら、今、俺が後悔しない決断をしたい。
今の俺に素直になろうと思う。
自宅に着き、両親に話す覚悟をした。
「話があるんだ。」
「どうしました?」
文父さんが聞く。
「そこに座って欲しい。」
俺は、ダイニングテーブルを指さした。聡父さんと文父さんが座り、俺が、目の前に座った。
「サッカーをやりたい。」
真剣な目で二人に言った。
やっぱり聡父さんが反対した。
「この前、反対だと言っただろ。また怪我をしたらどうするんだ?」
「その時、考える。」
「何を、いいかげんな、恭、お前のためを思って言ってるんだ。スポーツ選手なんて、ずっと続けられる職業じゃないんだ。何回も言ってきただろ?それに今回のことで身にしみたんじゃないのか?」
「それでもサッカーをやりたいんだ。」
俺は、真剣な目で両親に訴える。
「はぁ、、私は、大学でスポーツ推薦で入学した生徒たちを見てきた。その生徒たちの大半は、スポーツでうまくいかなかった。その挫折で学校を退学した生徒もいた。お前には、そうなって欲しくないんだ。今からでも一般入試は、間に合うから、ちゃんと大学に入って、勉強しなさい。」
「その中でもうまくいった人はいるばずだ。俺もその可能性にかけたいんだ。」
「はぁ、、文、お前からも何か言ってやれ。」
「そうですねぇ、、恭さん、怪我をした時に、サッカーをやめる決断をしたんじゃないんですか?」
「始めは、やめようと思った。けど、わかったんだ。やっぱり、俺は、サッカーが好きだし、サッカーを続けたいんだ。」
「そうですか、、聡さん、ここまで言ってるんですから、思い通りにやらせてあげたらどうですか?」
「お前まで、、この前まで反対だったじゃないか、、」
「そうなんですけど、サッカーをやらなくなった恭さんを見てると、なんだか、いたたまれなくなって、、それなら、もういっそのこと、応援しようかなって思ったんです。」
「はぁ、、、わかった。後悔しても、泣きついてくるなよ。話は終わりだ。」
「ありがとう。」
二階に上がり、自分の部屋に入る前に兄貴に聞かれた。
「サッカー続けるのか?」
「続ける。」
「そっか、まぁ、頑張れよ。」
兄貴は、俺の肩をそっと叩いた。
「ありがと」
すぐに、リンクで山口に伝えた。
両親にサッカー続けたいって言った。なんとか、許してもらった。(笑顔チーター)
やったぁ(号泣ポニー)
泣きすぎ(走るチーター)
嬉しいだもん(半泣きポニー)
ありがとな(ペコリチーター)
いいえ((ハートポニー)
こうして、俺は、サッカーを続ける決断をした。
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