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第11話

 もっとも……足りない。中指に続いて薬指を花芯にえぐり込み、V字型に広げた二本の指で壁面をこすり立てても、太さも、長さも、アレとは較べ物にならない。  荒ぶる雄に、串刺しにされたいのだ。  カリが喉を突き破って飛び出すほど、奥の奥まで攻め入ってきてほしい。腰を摑み、揺さぶって、荒々しく突き上げてほしい。 「……くっ!」  指先が、ちっぽけな膨らみを捉えた。とたんに電流のようにびりびりするものが、背筋を駆け抜けた。ぷくり、と先走りの雫が先端に露を結ぶ。  今の、が……だろうか……?  頭をこわごわ振り向けた。  ベッドの端に蹴りやられたブランケットを背景に、妙に生っちろく見える双丘と、その狭間で前後する手を目の当たりにして頬が紅潮した。  伏し目がちに指を抜き取りにかかった。襞がたちまち、むずかるように指に吸いついてきた。  ねだりがましげに腰が揺らめきだすと、タガが外れる。最前、探り当てたぽっちを試しにもう一度ひっかいてみた。 「ぅ……ぁ、ああ……っ!」  とろり、と蜜が糸を引いて茎をつたい落ちる。ぱたぱたとマットレスにシミができる。  内壁が狭まって、うねうねと指を()みくだき、危うくストッパーが弾け飛びそうになった。咄嗟に茎の根元を指で締めつけた。  四肢をつっぱった。刑法の条文をそらんじて射精感をはぐらかした。自分をエクスタシーの高みへとさらいゆく波を、かろうじてやり過ごす。 「はぁ……ん、んん……」  愛液をまとって、鈴口はぬるぬるだ。イキたい、でも、すぐにイクのは惜しい。  自分自身を焦らすように、強弱をつけて襞を撫でる。  膝立ちになった。ぐるり、と手首を半回転させて秘孔をこね回す。乳首をつまみ、揉みつぶした。内腿が痙攣して、甘美なさざ波が内奥に走る。  和毛がべたつき、それと相前後して──。  カツ、コツと独特のリズムをともなう足音が、〝檻〟と外界を隔てる扉のすぐ向こう側に達した。  佑也は凍りついた。夢中になって油断した。 〝檻〟は素通しだ。本来の部屋と廊下を間仕切る扉を開ければ、自慰に耽るさまは一目瞭然。

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