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それから僕は、母さんが入れてくれた紅茶を飲みながら、5分位したところで書斎から父さんが出てきた。手には、白い本の様なものを持っている。けれど本にしてはかなり薄い。
「父さんそれは?」
「これは蓮春に。中を見てくれ」
父さんから白い本の様な物を受け取り、開いて中を確認する。するとそこには、茶髪で身長が高く、黒いスーツをきっちり着ている男性の写真があった。
「父さんこの人は誰?」
「その子は将来、蓮春のパートナーになる子だよ」
父さんから放たれた一言に衝撃を受けてしまった。
「で、でもこの人男の人だよ? ぼ、僕も男だし、それにパートナーって付き合ったり、もしかしたら、け、結婚とかもするって事でしょ!?」
混乱しすぎて、自分でもよくわからなくなってしまった。別に、今の世の中、男性同士で結婚できない訳でも無いし、別に気にする事でもないのかもしれないけど、そもそも人と付き合
ったことがない僕にとっては、結構ハードルが高い……。
「そ、それにどうして今なの? 今日高校に入学したばかりなんだよ?」
「別に最初から、その子と付き合えってわけじゃないよ。 蓮春もこの国の法律を知っているだろう」
父さんの言っているのは、5年前にできた法律で『20歳から25歳までには必ずパートナーを決めなくてはいけない』と言うもの。だからといって、会った事がない人と突然パートナーになれと言われても困る。
「ん〜、蓮春は少し勘違いをしているみたいだね。 20歳までにその子とお友達として交友関係を築いて、それ以上の関係になれるかどうか判断すればいいんだよ」
「友達……?」
「そうお友達。僕はその子に何度も会った事があるけど、とてもいい子だよ。まずは、会ってみればいいさ」
父さんは、この写真の男の人をかなり、信頼しているみたいだった。それまで、黙っていた母さんが口を開いた。
「蓮春くん、悠星さんの言う通り会って見るだけ会ってみれば良いと思うわ」
僕は少し悩んでけれど、父さんと母さんの言う通り写真の男の人に会ってみようと思った。
「父さん、母さん。 僕、この写真の男の人に会ってみるよ」
その後は、父さんが連絡などをとってくれて次の日曜日に会う事になった。僕は楽しみ半分、不安半分といった感じで表情をころころ変えていたに違いない。
それから、自室に戻って僕は机に向かった。僕にはやらないといけない事があるからだ。
「よし、中学校で勉強した内容をしっかり復習しないと!」
自分に、言い聞かせるかの様に呟き、ノートに問題を解いていく。
…………。
「う〜ん、もうこんな時間なんだ」
僕は凄く集中していた様で、始めた時は14時を指していた時計の針が、いつの間にか19時を指していた。
「いつも以上に勉強したのに、全然お腹が減らないや……。ふぁ〜、眠い……」
変に緊張していたからなのか、勉強をやめた瞬間に睡魔が襲ってきた。僕は睡魔には抗う事ができず、机に突っ伏したまま意識を手放した。
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