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再び、イスナにて(4)

そのまま目を瞑り寝たフリを決め込んだ。 霙が静かに歩を運ぶ気配がする。 芳しい、優しい匂いが近付いてきた。 「ルース、ルー……なーんだ、寝ちゃってるのか…やっぱり完全な状態じゃないんだろ?無理しやがって…… あれ?かわいい花。さっきレイチェが話してたのはこれのことだったのかな。 キリヤが持ってきてくれたんだね。 確か…名前が…“エルディアーナ”…花言葉は…『祈り』… ルース、みんなが祈ってくれてる。 早く元気になってお城に帰ろうね。」 霙は小さな声で話し掛けながら、ルースの見事な金髪を手で優しく何度も()いた。 「綺麗…お日様に当たってキラキラ光ってる。 ルース…無理したらダメだよ。本当はまだ完治してないんだろ?……みんな心配するけど、1番心配してるのは……俺なんだから……」 優しく髪を梳かれ撫でられて、そこまで聞いてしまったら、ルースはもう我慢ができなくなって飛び起きると、霙を掻き抱いた。 「うわあっ!何っ!?ルース!?何で?起きて」 矢継ぎ早に飛び出す霙の質問を遮り、唇を塞いだ。 舌先で無理矢理唇を割ると捩じ込み、微かにバニラの味がする唾液を啜りあげる。 「んっ、んむっ、んんっ…………んっ、んっ」 何か言葉を発そうとする霙の上顎をゆっくりと舐め上げていくと、霙は喉奥でくぐもった甘い声をあげ、次第に身体の力を抜いてルースに預けてきた。 ルースは舌先で散々弄んだ後、大きなリップ音を鳴らして少し離れ、鼻先をくっ付けた。 「はぁっ、はあっ……ルース、起きてるんなら、そう言って…はっ、はあっ」 ルースの胸元を握りしめ、息を荒げながら霙が咎めた。 「俺が返事をしようとしたら、お前があまりにもかわいいことを言うし、してくるから… 霙、心配掛けてすまない。」 そう囁くと、もう一度甘い口付けを霙に落とした。

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