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第3話
もうどれくらいこうやって、海を漂っているのだろう。
食料や水が尽きれば、港により、必要なものを慌てて詰め込み、また沖にむかう。
そして、浴室に閉じ込めた人魚を犯すのだ。
海にいる間は仕事の連絡も来ない。
こうやって、海を漂うだけなら死ぬまで暮らせる金はもうある。
人魚を抱いて、抱いて、抱き続ける毎日は、それまでの人を殺して金をもらう毎日よりは、ずっと良かった。
ただ、ただ
嫌われ憎まれるのが辛かった。
閉じ込め犯しているのだ、愛されるわけがない。
でも
泣き顔しか見たことがない。
浴室に入った瞬間、人魚の顔が歪む。
バスダブから、俺からにげようと、歩けもしない下半身がのた打ちまわる。
抑えつけて抱き上げ、床で犯すのだ。
白い喉をそらし、身体を震わせ、イクけれど、心の底から人魚が自分を憎んでいるのはわかる。
舌に舌を絡めても、噛み切ろうとはしなくなったけれど。
諦めたように最後はその穴に身体に俺が沈むことを受け入れても。
むしろ、待っているのだ。
チャンスを。
だから、もうすっかり抱かれることに慣れた身体で感じることにも前のようには怯えない。
欲しがるように動きさえする。
その綺麗な目の奥にあるのは殺意と憎しみだ。
それは当然で。
そして、悲しい。
俺の形になった中を味わう。
もう知り尽くしているのに。
どこをどうすれば感じるのか。
胸を舐めながら、奥を突かれるのが好きで、そうされると嫌いな人間の頭を抱きしめてしまうとか、ペニスと中の同時を攻めてやれば、そのしなやかな白い上半身はイソギンチャクのように蠢かせ、中を痙攣させるとか。
舌で穴の中を犯されると、泣きながら舌に押し付けるように動いてくるとか。
可哀想な人魚。
この行為の意味も知らずに快楽だけを知る。
俺が大嫌いなのに。
俺から快楽を引き出されるのはどれだけ辛いのか。
泣き顔しか知らない。
涙の味しか知らない。
どんなに抱きしめて、愛を囁いても、そこには拒否しかないのだ。
愛されるはずがない。
もともと、餌と捕食者なのだ。
俺はいつしか、泣きながら人魚を犯すようになっていた。
辛い。
辛い。
もう馴染んだ身体を心ゆくまで味わいながら、互いの身体を知り尽くした相手と抱き合っていても、これはただの酷い行為でしかなくて。
沢山人を殺した俺がそんなことを気にするのも無意味なのに。
酷い目に合わせている相手が自分をどう思うのかも気にしたことがなかったのに。
人魚に心を奪われたものは海に自ら飛び込む。
捕らえた人魚に心を奪われたなら、手放すことなど出来ないのだ。
「愛してる。愛してる」
そう言いながら奥まで突き上げる。
人魚は唇を開けて、失った声をあげる。
奪ったのは俺だ。
広い海から狭い窓さえない浴室に閉じ込めて。
毎日毎日、犯しつづける。
可哀想な。
可哀想な人魚。
その中はきつく熱く甘い。
泣き顔が愛しい。
涙の味がほろ苦い。
でも、無理。
無理だ。
いや、でも、もう・・・。
そうするしかなかった。
俺は穴にぶち込み激しく突きながら、自分の首に巻き付けていたチェーンの先についている鍵をとる。
人魚は鉄に自分からは触れられない。
絶対に。
人魚は自分の手錠の鍵を見ながら、俺に犯され続けていたのだ。
酷いことを。
でも、そうせずにはいられなかったのだ。
逃げられないことを教えたかった。
そうすれば・・・どうして、少しは心を開いてくれるとでも思ったのか。
俺みたいな殺し屋はダメだ。
何を考えても、最悪にしかならない。
だって、誰も愛したことがなかったのだ。
涎をたらしながら感じていた人魚が、手に取られた鍵で一瞬で正気に帰る。
「愛している」
俺はその前にその奥にぶちまけた。
人魚は人間の子供を産めるのだろうか。
生んでほしい。
酷い考えだ。
その子供も可哀想だけれど。
でも、俺は人間を生きながら引き裂く、拷問専門の殺し屋なのだ。
引き裂いた相手に何かしら感情を持ったのは、人魚が初めてだった。
孕ませたかった。
だって、もうそれくらいしかない。
一つ思うのは、人魚は性に厳格だという。
人間にここまで犯された人魚に番う相手がいるだろうか。
人魚も所詮、生き物でくだらない決まり事で生きてるのだ。
餌に犯された人魚に相手が現れるのか。
人魚は一人しか求めない。
相手にもそれを強いる。
人間を愛した人魚の話は一つだけ聞いたことがある。
それは恐怖話として語られている。
出来心で裏切って人間の女を抱いた人間の男を、人魚は喰らったのだという。
人魚に浮気は有り得ない。
人魚がつがう相手は、生涯一人だけだ。
そういう生き物なのだ。
だから、人魚はもう、俺以外の誰にも抱かれない。
それだけが奇妙な満足を与えてくれる。
舐めるのも噛むのも吸うのも大好きだった人魚の乳首を最後に堪能した。
小さかった乳首は毎日弄られ、ぷっくりといやらしい形になって、もう立派な性器になっていた。
もう一度抱きしめた。
小さな白い身体。
そして、頬を撫でた。
涙しかこの顔を飾るものはなかったのだ。
優しく唇を重ねた。
感じ過ぎてわからなくなってないのに、噛まれなかった。
まだ子供のような顔を愛した。
愛したのはこの人魚だけなのだとおもった。
抜かないまま、手錠の鍵をはずした。
1つ。
2つ。
手錠は床に落ちた。
人魚は笑った。
心の底から笑った。
笑顔の人魚は・・・一番美しかった。
入ったままの自分の性器が大きくなるのを面白いと思った。
人魚の中が痙攣するのも。
動き始めていた。
人魚も絞りとるように動いてきた。
笑顔の人魚。
中は今までで一番熱くて気持ちよかった。
初めて首筋に、腕を伸ばされ、しがみつかれた。
人魚が動かずにはいられないのではなく、自分から貪るように動いてくる。
激しく突く。
最高のセックスだ。
これは。
これだけは、合意の・・・。
でもわかってた。
首の肉を噛みきられるのと、奥に放つのは同時だった。
人魚は自分もイキながら、俺の喉を噛み切ったのだ。
悲鳴はあげたが、納得していた。
手錠を外すということはこういうことだ。
人魚にとって、人間は餌なのだ。
例外があったとしても、俺と人魚の間にはない。
俺の性器を絞るとるように動きながら、人魚は俺を食らっていく。
手足を簡単に千切られる。
でも、人魚は笑っていた。
笑って。
その笑顔が見れたから。
もういいとおもった。
どのみち、この愛には行き場など、なかったのだ。
END
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