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第12話 飢え(1) ※

 強烈な疼きを感じて、僕は夜中に目覚めた。  レンにマットと毛布を借りて寝ていた、のだが。  僕はがばと身を起こした。  隣ではレンが背を向けて、スースーと寝息を立てて眠っている。  体がおかしい。  気が狂いそうになる、謎の火照り。謎の疼き。  ペニスを弄りたい、と言う欲求とは違った。ペニスじゃなくて、もっと、後ろ。  後ろっていうのは、つまり。  グチュ、という感覚を感じて僕はビクッとした。  臀部の割れ目の間、そう、今まさに疼いているその後孔。そこが濡れた感触。  僕はレンが寝ていることを確認しながら、そろそろと自分の尻に手を伸ばす。その中心に。  やはり濡れている。  ヌルヌルしている。  なにこれ?この触り心地、もしかして、精液?お尻の穴から精液が溢れてきている?  変化したのは乳首だけじゃなかったんだ。  僕はそのまま本能のように、自分の後孔を弄りだした。  指を一本、入れてみる。 「んはっ……!」  僕の後孔は、待っていたかのように僕の指を受け入れた。 「あぁっ……、はあっ……」  中は精液が分泌されてぬるついている。  指で肉襞をこすった。快感の芽を僕はその肉壁で拾おうとする。  僕は必死に肉壁を指で弄る。  いい、気持ちがいい、ほんのり気持ちがいい。  快楽を捕まえられそう、すぐそこに手が届きそう  でも、届かない。押してもこすっても届かない。  もどかしさにどうにかなりそうだった。  確かに穴の内部がまるでペニスのように刺激を求めて猛っているのに、僕は勝手が分からなかった。  ペニスならうまく扱けるのに、自分の体を絶頂に導いてあげられるのに、この穴はやり方が分からない。  こんなに辛いのに、こんなに早くいきたいと苦しんでいるのに、僕の指の動きはとてももどかしく、一体どうすればもっと気持ちよくなれるのか分からない。 「うっ……!くっ……!」  僕は苦しさにうめき声を上げた。もっと気持ちよくなりたい。もっと強い刺激が欲しい。  快感が欲しくて、欲しくて、死にそうだった。  比喩じゃなくて本当に、死んでしまうと思った。  まるで飢餓だ、体が快楽を求めて飢えて悲鳴をあげている。   「ん……、ヨウ?」  レンが目を覚ましてしまった!  僕は慌ててお尻から手を離し、毛布に首までくるまった。

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