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第6話

「あーあ、二琥~こんなにしちゃって…くくっ…綺麗にするから待ってな?」 亜嵐は俺に放った液体を吸い取るように舐めていく…その舌の感触に思わず首を竦めた… 「んっ…亜嵐…って、ソレお前の…じゃん?」 「んくくっ…平気平気♪俺らのは♪…ほら?二琥舐めてみ?」 亜嵐は人差し指で俺の頬からその液体をすくうと、俺に向かって差し出した… 亜嵐の人差し指に絡んだそれは、どう見ても自分が排出するのと同じに見える… 「えっ…イヤだ…」 「大丈夫…ほらっ…」 亜嵐は左手で俺の口元をなぞると、優しく顎を押し開き…その液が絡んだ右手の指を俺に舐めさせた… 「…っん…んちゅ…んくっ…えっ?」 花を煮出した様な亜嵐の香りが、更に凝縮して口内に広がる… その味は咽返る程甘かった… 「ケホッ…んっ…甘っ…ん゛ー…えっ?俺のもこんな味すんの?」 「くはっ…二琥のはっ…俺にはヤバい美味く感じるけど♪…くくっ…普通のやつだよ…」 「コホッ…コホッ… うぇー…ずっと口に残る…」 「あれ?お気に召さなかった?」 「甘過ぎだし…なんかトロみが嫌ら…ん?……何ら?…変ら…よ?…」 目眩がして身体が熱くなってきたかと思うと、急に呂律が回らなくなり何だか楽しくなってきた… 「…んくくーっ♪…亜嵐ん?あららん?くくっ…」 亜嵐の姿が何故だか面白く感じて、笑いが止まらない… 亜嵐の銀髪に触れてクルクルすると、カツラかどうか確かめたくなり引っ張ってみた… 「痛たたっ…二琥~止めて?…困ったな…二琥あれだけで酔っちゃうなんて…弱すぎ…」 「くくくっ…くはっ…本当だぁ♪生えてんのうける~♪くくっ…」 「マジかよ…可愛い…って二琥?…に……」 直ぐに亜嵐の声は遠くなり、そのまま心地よく眠りに落ちた… ……… …… 「……きて?…二琥?…上で寝よ?」 肩を叩かれ目を覚ますと、半裸のまま床で布団にくるまっている。 「あー…俺寝てた?」 「うん。床で痛そうだったから一回起こしたんだけど…二琥すっげーよく寝てて…ほらベッド行こう?」 固い床で寝てしまったからか、身体の左側が少し痛かった… 「んー…風呂入って寝る…亜嵐は?」 「俺?もう入ってきたよ。…大丈夫?二琥お風呂で寝ないでよ?」 ………… 少し眠たいままシャワーを浴びると、徐々に目が覚めてくる… お湯の滴る自分の裸体が目に入ると、ふと、今日亜嵐としていた行為が冷静な頭に思い出されてしまう… (あの匂いのせいとは言え、俺は…流されて…亜嵐と…いや、覚悟はしてたけど…) 結婚というからには、ある程度の覚悟をしていたつもりだったが… 現実は想像を遥かに超え、初めての快感に流されてすごい事をしてしまった気がする… (亜嵐は…なんか俺を気遣ってくれてたっぽいな…でも…あんなの、これからずっと?…身が持たない…) 心持ちとは裏腹に、記憶の中の快感が下半身へ伝わり… 俺のソレは僅かに起き上がってくる… 「思い出して勃つとか…やだ…」 これ以上思い出さないように、シャワーを顔に思いっきりかけた… ……… …… 良く寝ている亜嵐を起こさない様に、そっと隣に潜り込む… (こんな生活…慣れんのかな?…って、慣れるのも何かやだけど…) 実家の雑魚寝と訳が違い、大きくて柔らかいベッドなのに… 違和感を感じるまでもなく、気が付くとすっかり明るかった… ……… …… 「…ん?」 眩しさを感じて目が覚める。 「そっか…亜嵐の家か…」 薄目を開けると、見慣れない色の枕が目に入ってきた… 「俺の家じゃなくて、俺達の家ね♪」 その声に寝返りを打つと、亜嵐が隣で起きていた。 「俺も寝すぎちゃった。二琥?もう昼だよ?」 「えっ?まじ?」 驚いて跳ね起きると、もう12時近かった… 「やべっ…皆の朝ごはんっ…」 「くくっ…習慣って恐いね…俺達二人きりだよ?」 「そうか…そうだな、昨日引っ越してきて…」 「そう♪新婚生活っ♪」 「だったな…なんか…変な感じ…」 「ん?どんな風に?二琥ムラムラしてるの?」 「っ!そういうのじゃねぇし!」 亜嵐は何かにつけ、そういう方向に持っていきたがる… 「くくっ…ご期待に添えずに残念だけど、俺もうそろ出かけないと…」 「えっ?仕事?」 「そっ…んあー、二琥とだらだらしたい~…あーあ、受けなきゃ良かった~」 亜嵐は布団ごと俺を抱き締めると、そのまま左右に振られた。 「二琥ごめんね…一人にしちゃって…」 暑苦しくて押し返すと亜嵐は残念そうに腕を緩め、俺はその隙に亜嵐の両腕から逃げ出した。 「やめろよっ!別に一人で全然平気だしっ!…っあ、俺も職探し行こうかな?」 「だから…二琥は働かなくて良いって!…っそうだ♪せっかくだから、大学でも行けば?」 「はぁ?来年まで浪人しろってか?…それに、亜嵐は働いてんのに、俺だけ浪人とか…ないない」 「んー?これから直ぐ入れる所あるよ?…頼んで来ようか?」 「…何っ?裏口ってこと?…受験期でもないのに、どういう事?…亜嵐…何者なんだよ?」 「くふっ…しがない淫魔だったけど、今は二琥の旦那様っ♪」 「違っ、何の仕事してんのかって聞いてんの!これから行くんだろ?…夜?…亜嵐っ…まさかっ?ホストとか?」 「残念っ♪不正解で~す。ふふっ…二琥、俺のホスト姿想像してるでしょ?…くくっ…ホストかぁ…案外良いかも?」 また、からかわれている気がするが、本当にホスト姿の亜嵐しか想像出来なかった… 「正解は何なんだよ?」 「不正解の方には教えられませ~ん♪ご相談にお任せします♪」 「って言われたって、もうホストしか浮かばねー…」 「くくくっ…二琥やっぱ想像してたんだ♪どう?格好いい?」 スタイルも良く中性的な顔付きの亜嵐が、細身のスーツを着こなし、女の子を侍らせている姿を想像していた… ホストなんて絶対似合うし格好いいけど、何故か少しイライラする。 「まぁ、販売とか…?取引的なやつだよ♪」 俺がイライラしているのが伝わったのか、亜嵐は少しふざけるのを止めた… 「っえ?…そっか……あっ!それ俺の事も紹介とか出来ないの?」 中途半端なこの時期に求人も宛にならなかったので、恥を忍んで頼んでみる… 「んー…二琥には…ちょっと…向いてないと思うし…」 亜嵐の言葉の濁し方で、俺は紹介するに値しないという事を察知した。 亜嵐は昔から俺より何でも良くできたし… いくら結婚相手だからと言って、図々しかったと反省する… 「とにかくっ!二琥には学校探して来るよっ♪…って、マジでもう行かないと…」 「…っ…でもっ…」 亜嵐は急にバタバタと準備を始め、あっという間に出掛けてしまった。 ……… 亜嵐が出掛けた後、とりあえず家事を片付け始めたが… 亜嵐一人居ないだけで、この家は広すぎて居心地が悪かった…

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